053Case Study053戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 税理士・公認会計士、弁護士、弁理士、 経営コンサルタント(中小企業診断士)などを活用している 税務や会計は税理士・公認会計士、法律は弁護士、特許は弁理士など社内では、対応が難しい仕事を必要に応じて専門家に依頼している中小企業は少なくありません。これに対し、社内で何とかできている仕事は、担当者の手前もあって専門家の活用が進みにくいものです。例えば、中小企業診断士に自社を分析してもらうのは、経営者としては勇気がいるでしょう。しかし、客観的な経営診断が役に立つケースは多いのです。このように、これまで依頼してこなかった分野も含め、専門家の活用ができないか検討することが求められます。2 大学、公的な中小企業支援機関、試験研究機関などを活用している 産学連携を実施している中小企業は、「2008年版中小企業白書」によれば5.2%とそれほど多くありません。ただ、内容は一般に話題になる製品の開発や評価委託だけではなく、経営学部の教員と共同したブランド戦略の検討など経営相談にも及んでいます。また、製造業以外の小売業やサービス業でも産官学連携は行われていて、一定の成果を上げているようです。最近では大学や公的な支援機関からの情報発信も増えていますので自社に連携の可能性がないか、一度探ってみてはいかがでしょうか。外部は使える資源の宝庫、着眼点と使い方が大事 Case1 GG社の高い技術力を支えるもののひとつに大学との協働がある。学会を通じた交流に始まる歴史は古く、その一環で以前から大学生を受け入れている。インターンシップの実施期間は2週間から4カ月に渡るため、寮も用意している。この取り組みから思わぬ副次効果が生まれた。第1に同社で学んだ学生が大学院まで進んだ後に入社したケースがあった。第2に大手メーカーに就職した学生が顧客の立場で同社を訪ねてきた。また第3の効果として社内の活性化をあげる。従業員は学生と仕事や食事をともにすることで大いに活性化するという。(電子ビーム加工・90人) Case2 HH社では、財務や税務の仕事は公認会計士に任せている。また弁護士も有力な事務所を顧問に迎えた。このように高度なプロフェッショナルを自社のパートナーに据えるやり方は、ずっと以前から始めていた。「プロの仕事はプロに任せる」のが社長の考え。売上がさらに増えても大丈夫なように各分野の専門家に頼んでいる。そのため「ちょっと困った」といった経験をせずにすんでいる。(包装資材紙工品総合卸売・40人)██中小企業経営者の経営相談の状況※注:ここでいう利害関係者とは、経営陣、従業員、出資者・株主、保証人をいう。資料:中小企業庁委託「中小企業の経営者の事業判断に関する実態調査」 (株)野村総合研究所(2011年12月)具体的な相談相手(複数回答、n=2,904、単位:%)顧問税理士・会計士68.1従業員10.3経営陣34.9取引業者8.6家族・親族(利害関係者)27.4家族・親族(非利害関係者)6.0メインバンク17.7他の金融機関5.4出資者・株主15.8商工会・商工会議所4.5同業種の経営者13.0保証人1.2経営コンサルタント11.0その他2.0異業種の経営者10.6定期的な経営相談をしている35.7%定期的な経営相談をしていない64.3%n=8,181██経営相談有無別の直近5年間の利益の傾向資料:中小企業庁委託「中小企業の経営者の事業判断に関する実態調査」 (株)野村総合研究所(2011年12月)020406080 100(%)■大幅な増益傾向 ■増益傾向 ■横ばい ■減益傾向 ■大幅な減益傾向経営相談をしている(n=2,836)経営相談をしていない(n=5,020)13.00.30.133.541.511.77.528.145.318.9
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