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049Case Study049戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 経営者と従業員との懇談会を定期的に開いている 従業員にとって、経営者はどうしても一線を引いてしまう存在です。仕事上の不満や不安があっても中間管理職を通してでは、真の意見を吸い上げることは難しいものです。 例えば、年に2回、社長がすべての従業員と面接をしている中小機械メーカーがあります。そこでは、仕事の進め方、新しくチャレンジしたいこと、仕事や企業への不満など、さまざまな問題について率直に意見交換をしています。当初はあまり話が弾まないこともあったそうですが、継続していくうちに本音をしゃべってくれるようになったといいます。このような面接や懇談会などコミュニケーションの機会を意図的につくっていくことが求められているのです。2 一方的に命令するだけではなく、 従業員一人ひとりの意見を汲み上げるようにしている 社長が相手では、普段から考えていることでも、緊張して思うようにいえない従業員も少なくありません。真の情報を得ようと思えば、社長とはいえ、従業員のいうことに傾聴ができることが重要です。何人かの従業員を集めて話を聞く場合には、社長はむしろ進行役に徹して盛り上げる側に回ることで、フランクな意見を聞くことができるものです。 とはいえ、企業は学校ではありません。仕事を進めるなかで、「ほうれんそう(報告、連絡、相談)」を手際よくするようにしつけることも大事です。若者は、本人が一生懸命にやっているつもりでも、「ほうれんそう」が不十分なために、ミスが起こったり、カバーするのが遅れたりということが頻発します。結局それはしつけ教育で解決するしかないのです。トップの聞く姿勢に 従業員は応える Case1 CC社の社長は、機械の展示会に従業員50人とともに足を運ぶ。参加は自由だが、見学した従業員からは新しい工具や設備の提案があがってくる。そこで、設備の導入などの判断を現場に任せると従業員たちは自ら勉強し、結果として生産性の向上を実現させる。トップの権限を管理職や現場に下ろすことで、従業員のやる気を引き出すことにつながった。(精密歯車製造・50人) Case2  DD社では、社内で月1回、全従業員が参加し、アイディア会を開いている。社長は、「街の中や家庭の中に、いろいろなヒントがころがっている。身の回りにあるちょっとしたアイディアが思いがけない新商品を生み出す」ことから、全従業員によるアイディア会に大きな期待をかけている。既に従業員提案で、具体的な商品が誕生するなど、アイディア会の成果も徐々に出てきている。製品化した物に対しては、売上の数パーセントを報奨金として支払っている。インセンティブを与えることで、商品開発に対する意欲はかなり高まっているという。(電器機械器具製造・22人)中小製造業全体該当する54%該当しない46%該当する74%該当しない26%優良企業の多くは、社長や経営幹部が職場をよく歩きまわり社員に声をかけている偏差値60以上の中小製造業██「社長や経営幹部が職場をよく歩きまわり社員に声をかけて話し合うことが多い」企業の割合※注:「偏差値60以上の中小製造業」は経営総合力が高いレベルにあることを意味する。出所:東京商工会議所「中小製造業における企業の健康診断調査」(2007年)東商会員で製造業に属する中小企業が対象。有効回答数は550社。

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