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045Case Study045戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 独自のノウハウや技術を社内に蓄積させる仕組みがある 独自のノウハウや技術があっても、それがいつのまにか散逸してしまっては意味がありません。まずは何が独自性なのかを知ったうえで、社内に蓄積していく仕組みが大切です。有形の物であれば比較的容易ですが、ノウハウや技術のなかにはベテラン従業員が属人的に持っている無形のものも少なくありません。それらを若手従業員に伝えるために、マンツーマンの指導や文書化など、何らかの方策を考えていくことが求められています。2 大企業や大型店舗にはない優位点を持っている 中小企業は、総合的な経営資源では大企業や大型店舗より劣っている傾向にあるのは間違いありません。ただ、人材、組織力など個別にみていけば、かえって優れている点がどこかにあるはずです。ライバルとなる大企業や大型店舗と自社の経営資源を比較し、すでに優位である点、あるいは少し努力すれば優位に立てそうな点をまず発見し、それを武器に戦っていくことが必要ではないでしょうか。セールスポイントは 連携相手にとっても重要 Case 欧米の販売代理店は地域テリトリーを欲求するが、W社としては与えない方針を貫いている。それは働かない人に“可能性のある地域”を渡すことになるからだ。ただし実際に顧客を持ってきた代理店には、その顧客に対しての販売権をずっと与えることにしている。  一番先に実績をあげた人に販売権を与えることは、初め違和感を持っていた人たちにも理解を得つつあり、最近は完全に定着してきた。同社がサーモスタットの独自製品を持っているからこそ、代理店はついてきている。製品は定価販売の独占であり、このルールが代理店にとって売りやすいために頑張ってくれるようだ。(各種サーモスタット製造・36人)顧客要求に応え、 それを積み重ねる Case1 金型メーカーにとって、試作は代金が安いうえに手間がかかる一方、必ずしも量産に結び付くかはわからないので積極的に取り組む企業は少ないという。また、企業によっては「試作だからいいだろう」と、試作品の品質をあまり重視しないところもある。しかし、X社はあくまで顧客が欲しい物、満足してもらえる物を提供することが使命であると考えている。そのため、たとえ試作であっても品質の優れた金型を作るようにしている。そうしたことの積み重ねが、同社への指名発注や新たな取引先の紹介につながっている。(プラスチック金型製作/射出成形・13人) Case2  Y社は製品ラインを拡げるために、いくつかのメーカーと提携している。提携先のZ社が作った耐候試験器は同社でも販売している。これは同社が耐候試験器を必要とするペイント各社とつながりがあるためである。他にも世界的に有名なメーカーの製品をラインアップに加えて、顧客の要望に応えている。(計測器等製造・29人)██VRIOフレームワークとコア・コンピタンス企業の能力(優れた経営資源の集合体)コア・コンピタンス(簡単に真似できない技術やノウハウの組み合わせ)❶ 価値(Value)❷ 希少性(Rarity)❸ 模倣困難性(Inimitability)❹ 組織力(Organization)

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