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044Chapter1Business Methods自社のコア・コンピタンスを探す 企業の競争力は、その企業のセールスポイントである、「他社が簡単に真似できないような独自の技術やノウハウ」から生まれます。こうした独自性を組み合わせてつくられる企業の能力を、コア・コンピタンス(Core Competence) といいます。直訳すると「競争力の中核」という意味です。コア・コンピタンスになり得るのは、目に見える技術やノウハウ、あるいはそれに基づく商品やサービスだけではありません。人材、組織力、ビジネスモデルなども、競争力につながっていて他社が簡単に真似できないものであれば、立派なコア・コンピタンスであるといえます。 それでは、コア・コンピタンスとなる経営資源は、いったいどう探せばよいのでしょうか。ここでは、米国の経営学者バーニーらが主張したRBV(Resource-Based View, 経営資源ベースアプローチ)の考え方を紹介します。企業を有形無形の経営資源の集合体と捉え、企業のパフォーマンスの違いを、経営資源とその利用効率の差によって説明しようというものです。 RBVの考え方のなかで、競争優位の獲得に有効な資源の条件としてまずあげられるのは、相対的な「❶価値(Value)」の高さです。これは、事業としての収益率だけではなく、顧客にとって自社の商品やサービスがどのくらいの価値を生み出すかという点も含んでいます。次にあげられるのが 「❷希少性(Rarity)」です。他に供給する企業が少なく、しかも代わりになるものがない場合には、顧客はおのずと自社を選択することになります。次に、「❸模倣困難性(Inimitability)」です。他社による模倣が困難であるほど、新規参入も困難になり優位な経営資源といえます。最後に、それらを維持する「❹組織力(Organization)」の高さが求められます。自社独自の能力を開発するために、能率的で機能的な組織運営ができなければなりません。 こうした4つの要素が、企業の能力を決定していくとしたのがVRIOフレームワークです。自社の経営資源についても、この切り口で分析し、他社と比べて優位な点を探すことが大切です。そして、優れている部分の強化を積み重ねていくことが、長期的なコア・コンピタンスの獲得につながるのです。社内共有と社外へのアピール このようなコア・コンピタンス、あるいはセールスポイントを企業の実績につなげるには、その内容が取引先を含めた社外に明確になっていなければ意味がありません。意図的に、また積極的にアピールすることが必要です。また、そのためには、従業員にも十分に理解されていることが求められます。差別化のポイントが明確になっており、顧客から評価されている1-10

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