043Case Study043戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 競合相手の業界における地位や、強み・弱みなどがわかっている 1-3(30ページ)で示した、「敵を知って自分を知っていれば百戦しても負けない」という孫子の言葉は、ここでも重要です。競争に打ち勝つには、例えば品質、価格など、自社が 相対的に強いところを戦略的に活用していくことが求められます。そのためには、ライバル の競争上の地位や、強み・弱みなどを知っておく必要があります。それを自社の強みや 弱みと比較することで、初めて戦略を立てることができるのです。2 競合相手と直接競合しないための工夫 (すみ分けや協調)ができている 競争相手が非常に有力で、自社の商品やサービスではなかなか対抗することが難しいケースもあります。その場合、思い切ってライバルが優位な市場からは撤退するなど、すみ分けを図ることも検討すべきです。もちろんカルテルや談合はルール違反ですが、営業区域が重ならないようにして他社地域の顧客を斡旋したり、商品を互いに融通して品揃えを増やしたりするなど、これまでのライバルと協調していくこともひとつの戦略といえるでしょう。戦術は一点集中突破、 続いて関連市場を 個別に攻略 Case1 機能や目的に応じて幅のあるサーモスタットのなかでも、ある機能分野における安い価格帯の汎用製品がU社の事業領域である。そして、この範囲内にある隙間市場に次々に新製品を投入して市場を埋めていくのが同社の戦略の基本だ。中国で生産されるような、数は出るがコスト競争になる物は、売らない方針を貫いている。(各種サーモスタット製造・36人) Case2 炭素素材の一貫生産がV社の 最大の武器だ。炭素素材を作るメーカーは複数あるが、ライバルメーカーは小回りが利かないこともある。大手メーカーは 1カ月かけて炭素素材を作るが、同社は1週間あれば対応できるという。シールのライバルには上場企業が名を連ねている。ライバルとの差別化は徹底して小回りを利かせることだ。大手企業は代理店を通しているため、そこでワンクッション置くことになり、急な対応は難しい場合もある。材料についても同社の場合カーボン材は内製しているが、他のライバルは外部から調達している。(機械用カーボン等製造・175人)弱者戦略強者差別化商品戦略総合的局地的地域戦略広域的近隣的流通戦略遠隔的個別顧客戦略集団██マーケットでの地位と戦略(ランチェスター戦略)競争的地位状況戦略リーダー市場ナンバーワン企業● 市場規模の拡大● 市場シェアの防衛・拡大チャレンジャー2番手グループ● リーダーの弱点を突いた攻撃● フォロワーが支配する市場の取り込みフォロワーシェアが小さく特徴のない企業● リーダー製品の模倣や改良● ニッチャーへの転換ニッチャー小規模市場のリーダー● 専門化(商品、顧客、価格、品質、立地、 流通チャネルなど)██マーケットでの地位と戦略(競争戦略)資料:コトラーの著書などを参考に作成
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