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039Case Study039戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 営業で得た情報が社内の他の部署にも スムーズに伝わる体制ができている 営業担当者が情報を持っていても、経営陣や開発担当者に伝わらなければ意味がありません。市場に関する情報を積極的に観察するよう指示を出すとともに、定期的に各部門の担当者レベルも含めたミーティングを行ったり、開発チームに各部門から代表者を参加させたりするなど、タイムリーな情報収集が可能になる仕組みをつくることが求められます。新製品の不振の責任を、営業部門と開発部門とで押し付け合っているような企業は、こうした情報伝達がうまくいっていません。逆に、「売れる」新製品を開発している企業は、両者の連携もきちんと行われているのです。2 アイディアの創出を促すため、幹部や従業員に 外部の展示会や勉強会へ参加させている 新製品のアイディアを生み出すためには、市場や業界に関する情報や基礎的な知識が欠かせません。展示会は最新の市場トレンドを把握する絶好の機会です。また、商工会議所、中小企業団体、金融機関、大学などが主催する、経営や技術に関するさまざまな講演会や勉強会も大いに役立ちます。経営者がこうしたイベントに積極的に参加することはもちろん重要ですが、必要に応じて従業員もこうしたイベントに参加させ、アイディアを創出する能力の底上げを図っていくことが求められます。社内にある優れた アイディアをきちんと 掘り起こせ Case1 P社では新しい技術が入ってくると、それを咀嚼する部門があり、それをベースに社内へ広げるための勉強会がルーチンの仕事として頻繁に行われている。(溶接機の輸入/加工・100人) Case2  マニュアル通りに物を作るのであれば、どこの大手メーカーでもできるが、町工場には町工場なりの独自の「ものづくり」に関 する発想がある。Q社では、VA提案が採用されれば金一封が出るので、従業員にもどんどんアイディアを出すようにいっている。「ものづくり」の発想は物を実際に作って、じっくりと眺めてみることでよいアイディアが生まれてくる。机上で図面を見ながら考えているだけではわからないと社長は指摘する。(プラスチック金型製作/射出成形・13人) Case3  R社の技術開発は現場の作業者と開発担当者、設計担当者の協働作業で進められる。新分野の製品開発に関しては、「重要案件制度」を設けている。これは顧客からの新たな依頼に対して全社的に取り組むための対策会議を設置するというものだ。この制度により担当の部門だけに任せることはせず、部門横断的に課題の解決にあたり、役員も加わって陣頭指揮を執っている。(ねじ/冷間圧造部品製造・270人)██新製品開発失敗の要因と対応策製品自体の問題● 性能の不足● 製造価格の上昇● 開発コストの過小評価市場情報の不足● 市場規模の予測失敗● 販売先とのミスマッチ● 競合他社の参入● 政府の規制社員の対応● 技術や市場に関する情報の観察● 製品開発の途中経過報告● 経営陣への情報提供や意見具申経営陣の対応● 自らの情報収集● 社員に情報収集と提供を指示● 情報が集まる仕組みづくり● 社員の声を聞く姿勢経営陣の判断ミス● 先入観による思い込み● 過度の自信

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