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034Chapter1Business Methods事業計画策定企業は、経営パフォーマンスがよい 企業経営の目的を達成するためには、経営理念に基づいた具体的な戦略や事業計画が不可欠です。人材育成や製品開発は一朝一夕にはいきませんし、設備投資の回収にも時間がかかります。従って、ある程度長い期間を見据えた戦略の策定が必要でしょう。上場企業では投資家に対する説明のため、こうした事業計画を公表するのが当然とされています。事業計画によって、株主や従業員に企業が具体的にどのような方向に向かっているのかを明確に示しているのです。 もちろん、中小企業にとっても経営戦略や事業計画は重要です。まずは、5年から10年先を見越した長期戦略、それが難しければ3年程度先までの中期計画を策定し、その戦略を達成するために実行すべきことを、年ごとに整理してはいかがでしょうか。そうして策定した年次計画を、さらに必要に応じて、月ごと、週ごとの計画に具体的に分割していくことも必要でしょう。 実際に、中小企業庁の調査によれば、「経営計画を策定したことがある」企業は、そうでない企業に比べて、売上高が増加傾向にある割合が高くなっています(右図参照)。これ以外の調査からも、きちんと長期計画を立てている企業のほうが、経営パフォーマンスがよいという結果が出ています。SWOT分析、ビジョン、戦略、計画。そしてPDCAサイクルへ 事業計画を立てるには、まず「❶現状の分析」が必要です。ここでは、企業の内部要因(商品・サービス、設備、技術・ノウハウなど)、外部要因(顧客、市場、競合他社など)、計数面の現状(売上高、利益、財務状況など)を確認します。次に、「❷経営ビジョン」を明確にします。3年計画であれば、事業領域、事業規模、部門のバランスなどの観点を含め、3年後にあるべき自社の姿を明らかにします。そのうえで、「❸経営戦略」を策定します。これは、❶の現状と、❷の経営ビジョンとを比較したうえで、その差を埋めていくためにどのような方針で進めていくか、経営の方向性を定めるものです。最後は、数値目標を含んだ、より具体的な「❹事業計画」の策定です。ここでは、さらに部門ごと、年次ごとの目標も設定していきます。 もちろん、計画は立てただけでは意味がありません。計画の立案から評価にかけての過程をわかりやすく模式化したのがPDCAサイクルです。計画は、「❶プラン(Plan, 計画)」→「❷ドゥ(Do, 実施・実行)」→「❸チェック(Check, 点検・評価)」→「❹アクション(Action, 処置・改善)」の順に進み、再び❶プランに戻ります。経営環境は常に変化しますから、計画は常に検証し、場合によっては修正していく必要があるのです。経営戦略や事業計画を策定している1-5

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