033Case Study033戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 環境の変化に応じて、自社の事業領域を柔軟に見直している 企業を取り巻く環境は変化しますから、事業ドメインもそれに合ったものに変えていかなくてはなりません。もし仮に鉄道事業のみにこだわった事業ドメインを維持していれば、電鉄会社の多くは今ほど成長していなかったでしょう。ただし、あまりに頻繁な変更は、社内外に混乱を招きます。少なくとも5年先から10年先を見越した長期的な視点で事業ドメインを決定していくことが求められます。2 将来有望な事業分野および商品に対して重点的に投資している 事業ドメインの見直しによる企業の具体的な行動として考えられるのが、製品やサービスの見直しです。長年の主力商品は経営者や従業員にとって愛着があり、なかなか切り捨てることができないものです。ただ、売上も収益力も低下し、ライフサイクルが終わろうとしている製品に過度の投資をすることは、企業の生き残りにとって得策ではありません。経営資源や資金に限りがある中小企業だからこそ、個別の事業分野や商品の将来性を分析したうえで、将来有望な事業分野や商品などに対して、重点的、集中的な投資戦略を練る必要があるといえるでしょう。うまい商売ができる自社の生存領域を定めろ Case ライセンス・ビジネスが多いため、できるだけ上流に近いところでビジネスをやる方針を徹底するというJ社。3次元サラウンドのサウンドシステムをコア事業とする同社は、例えば半導体メーカーなど上流に位置する企業との協業を進める。そうすれば半導体メーカーが同社のサウンドシステムを組み込んだ半導体をどんどん売ってくれるからだ。また、大手のソフトウェア会社と組めば数千人の営業マンが製品を広めてくれる。外部の力をうまく活用する作戦だ。さらにコンテンツにサウンドシステムが組み 込まれれば、ロイヤルティービジネスも可能になる。 (3Dオーディオシステム開発・23人)時代を読み、 新しいマーケットに陣取れ Case1 他社の先を行く設備投資で順調な成長を遂げてきたK社は、これまで、住宅設備やオートバイ、音響機器など時代に応じて主力分野を変えてきた。現在のメインである携帯電話の装飾プラスチックめっきでは、国内の全メーカーと取引し、シェアは60%以上にもなる。(めっき技術開発・92人) Case2 L社はターゲットをそれまでの小中学生から高校・大学・OLに引き上げた。そして製品は一時的なヒットを狙わず、定番的に売れる物を指向した。新しい製品群にはキャラクターを用いずに、花や季節の柄などテーマのくくりを変えて、商品のライフサイクルが短くても半年から1年へと長くなるように計画する。市場、製品に続いて流通チャネルもアッパーマーケットへのシフトを行った。(文房具製造/販売・136人)方向軸内容例❶顧客軸誰に提供するのか沿線住民へのトータルサービス(電鉄会社)❷技術軸どのような技術・ノウハウを提供するのか醗酵技術を軸とした事業(食品メーカー)❸機能軸どのような機能や価値を提供するのかよりよい生活空間の提供(住宅メーカー)██事業ドメイン誰に?どのような技術・ノウハウ?どのような機能・価値?
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