031Case Study031戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 強みをさらに伸ばすための方策を実施している 先の洋食レストランの「味のよさ」が長年勤めた料理人によるものだとすれば、料理人が移籍したり引退したりすれば、一気に強みが消えるかもしれません。従ってこのケースでは、待遇の改善や後継者の育成など、ある程度長期的な戦略を立てていく必要があることがわかります。企業の強みは競争力の源泉ですから、失うことのないよう維持し、さらに強化するようにしていくことが大切です。2 弱みを克服するための方策を実施している 古いレストランは資金をかけて改装するのがベストでしょう。しかし常に掃除をして清潔さを保つことで、設備の古さはある程度は克服できるかもしれません。また、「弱み」はある意味では企業の特徴ですから、場合によっては「強み」に意図的に変えるという戦略も考えられます。例えば古いというイメージを逆手にとって、レトロなイメージを前面に出して宣伝していくということも考えられます。企業の持つ弱点をすべて克服するのは難しいかもしれませんが、ひとつずつでも少なくしていく姿勢は重要でしょう。独自の経験を積み重ね、強みをどんどん伸ばせ Case1 G社の業態はコイルセンターといわれ、鉄鋼メーカーから出荷されるアルミコイルをユーザーの仕様に合わせて切断している。加工対象の素材をアルミに特化したことで、技術力を高めると同時に市場での存在感を増し、アルミ専業のコイルセンターではオンリーワンの企業だ。(スリッター加工・63人) Case2 H社が扱う各種の測定器は、同じような物を他社でも作ることができる。しかし、測定データの分析の仕方については、他社には真似できないという点が重要である。人の目で見た感覚を数値化する。これこそがノウハウであり、同社のいうところのアピアランスである。(計測器等製造・29人) Case3 I社の振動計のコア技術は30年前から変わらないもので、他社でもこの技術を真似ることは可能だという。ただし、原理は真似ができても正確に測るための技術として、ノイズとの区分けやノイズ対策、フィルター対策などが必要になる。これらのさまざまな測定状況や測定対象物に関するデータの蓄積があるので他社はなかなか参入できない。(振動計測装置等製造・23人)内部環境外部環境プラス面強み(S=Strengths)味のよさ(料理人の腕)接客のよさ(優秀なスタッフ)機会(O=Opportunities)周辺人口の増加洋食ブームマイナス面弱み(W=Weaknesses)店の古さメニューの少なさ脅威(T=Threats)フランス料理店の進出家計の外食費の減少██ある老舗レストランのSWOT分析
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