030Chapter1Business Methods強みを伸ばし、弱みを克服 どんなに優れた大企業にも弱点は存在します。逆に、中小企業であっても市場で生き残っているからには何らかの強みがあるはずです。自社の弱みをできるだけ克服し、強みをより大きく伸ばしていくことが、競争を勝ち抜くためには不可欠です。 その前提として、まずは、何が自社の長所で、何が自社の短所かを明らかにする必要があります。古代中国の兵法家である孫子は、「敵を知って自分を知っていれば百戦しても負けない。敵を知らずに自分だけ知っていれば、一勝一負。敵も自分も知らなければすべての戦いに敗れる」と説きました。戦いに勝つためには、敵、すなわち顧客や業界動向といった外部環境だけではなく、自分、すなわち自社の内部環境も十分に把握する必要があるという点では、まさに企業経営にも通じる言葉でしょう。経営戦略の基本はSWOT分析から こうした内部環境と外部環境をわかりやすく整理し、目標達成のための経営戦略を構築する助けとなるのがSWOT分析です。まず、自社でコントロールできる内部環境とコントロールが難しい外部環境のそれぞれについて、目標の達成にプラスとなる要素、マイナスとなる要素を把握していきます。プラスとなる内部環境が「強み:Strengths」、マイナスとなる内部環境が 「弱み:Weaknesses」、プラスとなる外部環境は「機会:Opportunities」、 マイナスとなる外部環境は「脅威:Threats」で、それぞれの頭文字をとってSWOTと名づけられました。 右表に示したのは、ある老舗レストランの簡単なSWOT分析です。周辺人口の増加は「機会」となりますが、ライバルとなるフランス料理店の進出は「脅威」です。こうした市場に対して、味のよさという「強み」で勝負していますが、店の古さは「弱み」となっています。なお、ここでは簡略化してありますが、実際にはできるだけ多くの要素を書き出すべきです。こうした状況を把握したうえで、「強み」を伸ばし、「弱み」を克服する経営戦略を立てていくことが重要なのです。 ここで注意すべきは、外部環境も内部環境も常に変化しています。毎月というわけにはいきませんが、経営計画を練り直す際や、ライバルの出店など、環境に大きな変化があった時には、再度分析をしてみることが必要でしょう。自社の強みの源泉や弱みを把握している1-3
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