028Chapter1Business Methods3Cモデルで経営環境を分析 企業経営者は常にさまざまな経営判断を求められます。その際、より正しい結論を導くためには、自社を取り巻く経営環境を正確に分析しておく必要があります。こうした分析のフレームワークのひとつが、自社(Company)、競合相手(Competitor)、顧客(Customer)を軸とした3Cモデルです (右図参照)。自社を中心とした場合に外部環境と位置づけられる、顧客や業界の動向は、経営の方向性を定めるために、常に十分に把握しておかなければなりません。 具体的には、顧客(Customer)の状況としては、顧客の属性、行動様式、ニーズ、現在や将来の市場規模など、競合相手(Competitor)の状況としては、競合する商品やサービス、競争相手の規模や数、経営状況、将来の参入予想などがあげられます。公開情報や聞き取り調査で情報収集 顧客や業界の動向を把握する方法としては、まず既存のデータや各種メディアの活用が考えられます。一般の新聞雑誌はもとより、業界紙、専門誌などで、常に市場の状況を観察する努力が必要です。官公庁、業界団体、金融機関などが発表している統計データやレポートも重要な情報源です。こうした情報は、最近ではインターネットで比較的容易に入手できるようになっていますから、利用しない手はありません。 次に忘れてはならないのが、店頭や営業の担当者、メンテナンスの技術者といった、顧客に直接接する従業員などの企業内部から得られる情報です。彼らのもとには、顧客の真のニーズが集まっている可能性があります。公開情報は競合相手も容易に集めることができますが、自社で独自につかんだ情報があれば、より有利に市場に対応することができるでしょう。そのほか、顧客へのアンケートや店頭での聞き取り調査など、さらに積極的に情報を集めることも考えられます。マーケティングリサーチ会社の活用や、外部団体との連携も視野に入れてもよいかもしれません。 こうした顧客や業界動向の分析は、未進出の地方や海外など、新たな市場への参入の際に特に重要になります。十分な現地視察は当然ですが、その際、さまざまな情報源を活用すべきです。中小企業庁の調査によると、海外進出した企業は「同地域への投資経験のある日本企業」「取引金融機関」「日本の取引先」「現地政府機関」「業界団体」などから、幅広く情報を収集しています。そして、こうした情報収集の有無が、進出後のパフォーマンスにも大きく影響していることは、情報収集の重要性を裏づけているともいえるでしょう。競合相手や取引先の動向、業界に関する動向を把握している1-2
元のページ ../index.html#28