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217Chapter7Checks戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要6 成長性は、売上や利益などの増加率を時系列で把握することにより分析します。 ここでは、経常利益増加率を把握します。経常利益増加率(%)=(経常利益−前期経常利益)÷前期経常利益100 「経常利益」とは、企業が本業を含め、普段の事業活動から得られる利益であるため、経常利益増加率がプラス(高い)ということは、企業の力が高まっていることの現れと考えることができます。 ただし、前述の売上高増加率と合わせて、自社のポジションを見極め、損益計算書によって深く分析することが必要です。 問題となるのは、経常利益増加率がマイナス「❸増収減益」あるいは「❹減収減益」の場合です。 「❸増収減益」、つまり売上高が上がっていても経常利益が減少している場合には、売上高から売上原価を差し引いた「売上総利益」の増減をチェックしましょう。「売上総利益」が減少していれば、商品自体の採算性が落ちている可能性が高いので、商品別、市場別、地域別、あるいは店舗別の採算状況を分析し、採算性が落ちている原因がどこにあるかをつき止める必要があります。そのうえで、競合他社の動向をみながら、販売戦略や販売計画を見直していきましょう。例えば、好採算の商品を重点的に売り込んだり、商品の機能や精度、品揃え、あるいはアフターサービスなどによって差別化できたりするのであれば、徹底的な差別化戦略によって、価格競争による採算性低下を防ぐことが可能です。「売上総利益」が増加しているのにもかかわらず、経常利益が減少している場合には、販売費、一般管理費、支払利息などが売上高の伸び以上に増加していますので、業務の効率化などによる経費削減が必要です。 「❹減収減益」の場合には、まずは、売上高の分析をまず行うべきです。そのうえで、商品の採算性確保策や経費削減策を講じていくことが重要です。 なお、「❷減収増益」の場合には、比較的高給のベテラン社員の退職などの特殊要因がまず考えられますが、好採算商品・分野への絞り込みなどによる結果であれば、好ましいものといえるでしょう。安定した経営のためには、やはり「売上」よりも「利益」が重要なのです。成長性指標経常利益増加率企業の成長性を利益からチェック経常利益増加率プラス(増加)マイナス(減少)売上高増加率プラス(増加)❶増収増益❸増収減益マイナス(減少)❷減収増益❹減収減益██売上と利益の増減:わが社はどのポジションか?██損益計算書の構造(利益の各段階)売上高売上原価営業外費用特別損失法人税など売上総利益販売費一般管理費営業外収益特別利益営業利益経常利益税引前純利益税引後純利益

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