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213Chapter7Checks戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要2 経営者にとって、「赤字」は避けたいものです。「黒字」と「赤字」との分かれ目、つまり「採算ライン」を知るための分析が「損益分岐点分析」です。「損益分岐点(損益分岐点売上高)」とは、損益トントンとなる売上高のことであり、実際の売上がこれを上回れば「黒字」、下回れば「赤字」ということになります。安定した企業経営のためには、常に損益分岐点を把握しながら事業活動を行うことが必要です。 自社の損益分岐点を知るために、まず、自社の費用を「変動費」と「固定費」に分類します。「変動費」とは、売上高によって比例的に増減する費用で、材料費や仕入商品の原価などがこれに当たります。一方、「固定費」とは、短期間では売上高の増減とは関係なく一定に発生する費用で、減価償却費や家賃、正社員の人件費などが該当します。 ここでは、製造業や建設業の場合には「材料費+外注費」、非製造業の場合には「売上原価」を「変動費」として、それ以外の費用は「固定費」として計算しています。 損益分岐点分析は、経営計画を立案する際にも大いに参考になります。すなわち、来年度以降、売上がいくらになればどのくらい利益が上がるのか、予想される売上のなかで利益を確保するためには、変動費と固定費をどのくらいにしなければならないのかを把握し、対策を立てることができます。損益分岐点売上高(円)=固定費÷(1−変動費÷売上高)製造業の場合(建設業、運輸・情報通信業を含む)=(売上高−材料費−外注費−経常利益)÷{1−(材料費+外注費)÷売上高}非製造業の場合=(売上高−売上原価−経常利益)÷(1−売上原価÷売上高)収益性指標損益分岐点売上高採算がとれる売上高のラインはどこかをチェック固定費にも2種類ある 「固定費」とは、短期間では売上高の増減とは関係なく一定に発生する費用ですが、固定費にも2種類あることを知っておくと便利です。 1つは、設備投資にかかる減価償却費など、長期的な観点からの意思決定によって発生する「拘束固定費(コミッテッド・コスト)」であり、これは、短期的には金額を増減できません。もう1つは広告宣伝費など、短期的に裁量がきく「自由裁量固定費(マネジド・コスト)」であり、こちらの固定費は、固定費とはいっても、業績をみながら増減させることもできます。Step Up ██損益分岐点図表費用・損益売上高利益変動費総費用売上高固定費損失損益分岐点

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