207Case Study戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要ブランドを育て、 採用の武器にする Case J社の社長は、企業ブランドや商品ブランドの確立のために、各地の商工会議所関係に、忙しい日々の合間を縫って、講演に出かけている。区の「経営品質大賞」も受賞した。今後とも「学生向けに、どうやって自社をアナウンスするか、それを考えていきたい」としている。(包装機械製造・38人)外部との特許手続きも 考えておく Case K社の水分率調節器の開発は、ある大企業と組んだ共同開発である。先方の開発部長がインターネットで同社を見つけて、相談を持ちかけてきた。水分率調節器は、1つ当たり数万円のコストを予定した製品となり、安売りする物は作らないという同社の開発方針と合致したため、開発に取り組むことになった。今回の製品化にあたり、共同特許を取得している。先方からは小型の水分率調節器を同社で開発する了解を得ているので、製品ラインアップに加えていく考えだ。(各種サーモスタット製造・36人)Step Up1 特許調査を行っている 自社の優位性を特許として管理することが適当だと判断される場合、過去の関連特許を調査する必要があります。特許調査を行うことで権利関係を把握し、新規性のある技術かどうかを判断し、特許権として権利化できるかどうかを判断します。さらに、特許調査を行えば業界全体の技術動向を把握できます。その結果、自社の技術が占める位置を確認するとともに、競合相手の技術動向を把握することもできます。 特許調査を行う場合、無償のデータベースとして「特許情報プラットフォーム」が一般に開放されており、簡便な調査に向いています。詳細で漏れのない特許調査を行うのであれば、弁理士や専門の調査会社に依頼することになります。2 特許権の審査における判断基準を知っている 中小企業が特許を出願する場合、8割以上が弁理士を利用しているといわれます。出願書類の作成が専門的で煩雑であるのがその大きな理由だと思われます。しかし弁理士に依頼する場合でも、特許として成立する見込みがあるかどうかを自社で事前に検討しておくべきでしょう。それには、特許権の審査における主な判断基準を知っていると便利です(下図参照)。さらに、依頼する弁理士に対して、自社の技術が新しいものであることや容易に考えられないものであることなどをわかりやすく説明できるように準備しておくべきでしょう。出所:特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル」より新たに作成特許法上の発明であるか明細書などの記載要件を満足するか特許を受けることができる発明特許を受けることができない発明公序良俗に反する発明でないか先に出願されていないかどうか容易に考え出すことができないか新しいかどうか産業として実施できるかYESNONONONONONONOYESYESYESYESYESYES出所:特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル」██知的財産の種類と戦略自社の優位性を特定優位性は技術的要素か?模倣されている事実を検出可能か?特許戦略へノウハウ戦略へ優位性の源泉がブランド力などである可能性が高いNONOYESYES
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