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206Chapter6Business Methods6-9自社および競合相手の知的財産を把握・整理している自社に固有の知的財産は何か? 知的財産を自社の競争力の源泉として活用するには、そもそも自社に固有の知的財産とは何かを把握する必要があります。では、自社にある知的財産を把握するにはどうすればよいのでしょうか。まず自社の経営活動をプロセスごとに細分化してみます。そして、それぞれのプロセスが外注(アウトソース)できるかどうかを考えます。もし外注できそうにないのであれば、そのプロセスには競争力の源泉となる経営資源が存在する可能性が高いといえます。 こうしてある程度自社の優位性が特定できたら、それがどのような知的財産に当たるのかを2つの質問によって考えます(右上図参照)。第1の質問は「その優位性は技術的要素か」です(ここでは設計やデザインなども技術と考えます)。答えがNOであれば、優位性の源泉はブランド力である可能性が高く、「営業標識についての権利」に相当すると思われます(6-8❷参照)。答えがYESの場合は、第2の質問「他者に模倣されている事実を検出可能か」に移ります。「検出可能」とは、競合相手の製品を調べて、自社が保有している技術が使用されているかどうかを判断できることを意味します。答えがYESであれば多くの場合、「特許」として管理することが適当です。模倣を制限することが参入障壁になるからです。逆にNOであれば多くの場合は、営業秘密である「ノウハウ」として管理することが適当でしょう。検出が困難な技術について特許権を取得し、ノウハウを含む技術の詳細を公開すると、競合相手による権利侵害を突き止めにくいことから自社の優位性が失われるおそれがあります。他社の知的財産を把握して権利侵害を防ぐ 自社の知的財産がどのようなものが把握・整理できたら、次は競合相手など他社の知的財産について把握する必要があります。競合相手の特許権などを正確に把握しないまま自社製品を市場に投入した場合、他社が保有している特許権などを侵害してしまい、訴訟に発展するおそれがあるからです。このような事態に陥らないためには、日ごろから主要な競合相手の特許権などの取得状況を把握することが望ましいといえます。

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