201Case Study戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要環境への取り組みから 思わぬメリット Case1 E社は環境を客観的な数値で追いかけるために、社内に委員や監査、マネジメントする人などを決めて一年交替で担当している。環境管理を進めるうえでは、いずれの部署の作業が遅れても月間の活動集計ができないので、担当ごとに遅れが生じないよう気をつけている。ISOの作業が時間外になるため、取得して半年間くらい従業員は嫌がっていたようだ。 社内に設置したISO委員会では、意思の疎通がしっかりできるようになってきた。さらに委員会後の飲み会では、本業に関するコミュニケーションも活発になった。そのため本業の仕事まで、以前よりスムーズに運ぶようになるという副次的効果が現れた。本業における仕事の漏れやミスが激減したというメリットも現れている。社内では備品を大切に扱うようになり、コピーの裏紙がなければ、探してまで使うほど意識が変わった。蛍光灯もこまめに消したり、ゴミも減ったりしている。(包装資材紙工品総合卸売・40人) Case2 F社では、環境ISOは従業員が手弁当で集まって勉強したもので、外部委託をせず自分たちの手で取得した。環境対策では自分だけがよいということはダメで、部署ごとに環境の目標を数値化して掲げている。企業全体でも電力消費など省エネ化の目標を掲げた。(防塵ユニフォームアパレル業・55人)Step Up自社の活動分野において省エネルギーに関連する法令を理解している 省エネに関してどのような法令が適用されるのかを理解する必要があります。考えられるのは、「❶エネルギーの使用の合理化に関する法律(平成20年5月改正、21年4月施行、「省エネ法」)」、「❷地球温暖化対策の推進に関する法律(平成20年6月改正、21年4月施行、「温対法」)」、「❸都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(同年6月改正、「東京都環境確保条例」)」の3つです。 まずそれぞれの法令の適用対象かどうかを確認しなければなりません。省エネ法はエネルギー使用量(複数の事業所を有している場合は、それらを合算)が原油換算で年間1,500キロリットル以上の企業、温対法は省エネ法の対象企業など、東京都環境確保条例は同3,000キロリットル以上の企業です。エネルギー使用量の目安は下表の通りです。 省エネ法が適用されると定期報告書、中長期計画書の届け出が、温対法の場合は温室効果ガス算定排出量の報告書の届け出が、東京都環境確保条例の場合は地球温暖化対策報告書の届け出が義務づけられます。 省エネ法、温対法では、報告書を提出しない企業に対して提出を促す指導などが行われ、それでも改善されない場合には罰金が科されます。さらに省エネ法では、場合によっては名前が公表されます。東京都環境確保条例では、報告内容が公表され、必要に応じて指導・助言を行われ、正当な理由なく従わない場合には名前が公表されます。 エネルギー使用量(参考値)一般事務所床面積600㎡で原油換算約30kl/年コンビニエンスストア原油換算で約40kl/店舗・年ファストフード店原油換算で約60kl/店舗・年ファミリーレストラン原油換算で約100kl/店舗・年※注:原油換算30kl/年とは、電気のみ使用している場合で年間約12万kWhである。出所:東京都環境局「中小規模事業所に対する温暖化対策」(2009年3月)██東京電力における電力単価の推移出所:東京電力HP内「電灯電力総合単価」http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/charge/overall-rates-j.html(円/kWh)02015年2014年2013年2012年2011年2010年2009年2008年2007年2006年2005年2004年2003年2002年2001年2000年1999年1998年1997年1996年1995年353025201510527.0131.5429.3822.62
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