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200Chapter6Business Methods6-6省エネルギー設備の導入など、省エネルギー対策に力をいれている環境問題とコスト縮減のための省エネ対策 東日本大震災などの影響もあり、産業用の電気料金は長期的には上昇傾向にあります。しかしながら中小企業は、電力などのエネルギー価格の上昇を販売価格には転嫁しにくい構造にあります。海外から安価な製品が流入し、販売価格に下押し圧力がかかっているからです。従って、エネルギー消費量を圧縮することも重要です。環境問題だけではなく、コストを縮減するためにも省エネルギーの必要性は高まっています。省エネの4つの留意点 中小企業が省エネに取り組む際に留意すべきことは4つあります。 第1は、どのようなエネルギーをどこで、どれくらい使っているかを正確に把握することです。月別・事業所別に、料金単位ではなく使用量単位で、1年間のデータを把握することが望ましいでしょう。 第2は、省エネ機器は最も効果的な生産工程や設備に導入するということです。現在はさまざまな省エネ機器が開発され、またそれらの機器の導入には税制や金融面での優遇措置が講じられています。従って省エネ機器を導入すること自体は難しくありません。しかし、稼働率が低い設備に費用をかけて省エネ化しても効果は限られています。自社にとってどこに省エネ機器を導入すれば費用対効果が最も高いかを検討する必要があります。それには、先述のデータが重要です。 第3は、できることから着実に行うということです。例えば、部屋の照明や空調はゾーン別にON/OFFする、昼休み中はOA機器の電源を切る、ひさしやブラインドを設置する、駐車時のアイドリングをやめる、クールビズを採用して室温を高める、等々の取り組みです。一つひとつは小さな取り組みでも、あわせるとコスト節減につながります。また省エネに対する意識を従業員の間に共有できるという副次的な効果も期待できます。 第4は、これらの取り組みを持続させることです。省エネ対策の効果が一過性な物になりがちなのは、対策に取り組んだという自己満足で終わってしまい、社内の意識が次第に希薄化してしまうからです。そうした事態を避けるには、従業員の省エネに対する意識を継続させる工夫が必要です。例えば、省エネ対策によってどの程度のコスト削減につながったのかを検証して明示するとともに、たとえ少額であっても削減できたコストの一部を従業員に還元する、などといった取り組みも考えられます。

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