194Chapter6Business Methods6-3災害時の事業継続計画(BCP)や、具体的対応策を定めている災害時に取るべき行動の優先順位 災害時にはやるべきことがたくさんあります。だからといって、手あたり次第に着手すればよいというわけではありません。災害時に取るべき行動には優先順位があります(右図参照)。 最も優先順位が高いことは、顧客、従業員およびその家族の安全確認と安全確保です。それには事前に連絡体制を構築する必要があります。固定電話以外に携帯電話やメールによる緊急連絡網(従業員→上司のボトムアップ型)を作成したり、災害用伝言ダイヤルを活用することを全員に周知したりします。また、避難経路や避難場所などを確認しておくことも必要です。 2番目に優先順位が高いのは、自社の被害状況などを把握することです。工場や店舗、機械・設備、什器・備品、原材料、商品など、チェックすべきことを漏らさぬように、「被害状況チェックシート」を事前に作成しておくとよいでしょう。 3番目は、支店などから本社へ、従業員から管理職などへ被害状況などを連絡することです。事業継続計画(BCP)の作成 以上3つのステップをクリアしたうえで、4番目に事業継続に向けた対応が必要になります。このステップであらかじめ決めておくことは、次の4つです。 第1は、指揮命令系統の明確化です。指揮命令権者を順位付けし、トップが不在の場合などに備えます。また店舗や事業部門などが複数にまたがる場合は、それぞれの部門などの責任者を任命します。 第2は、取引先、とりわけ仕入先や外注先と、災害時の情報共有方法を事前に定めておくことです。製品や部品などの供給が止まれば、たとえ自社が大きく被災していない場合でも、事業は再開できないからです。また重要な製品や部品などの供給が止まった場合に備えて、代替品の調達先もリストアップし、緊急時の供給について依頼しておくこともひとつの方法です。 第3は、自社の業務をその重要性に従って優先順位をつけておくことです。一般的に、被災すればすべての業務が行えるわけではありません。従って、確保できた経営資源(自社の設備や工場・店舗、従業員、製品や部品など)を重要な業務から順に集中して投じる必要があります。 第4は、やむをえず事業を停止せざるを得なくなった場合の対応を決めておくことです。例えば、自社が事業を停止することで悪影響を及ぼす顧客や仕入先・外注先などへの連絡、事業停止期間の見極めとその間の資金手当てなど、さまざまな対応が必要になります。 以上の4点を従業員を交えて事前に検討し、災害時の方針を全社的に共有しておくことが重要です。
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