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193Case Study戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要クレームは仕組みとして きちんと対応 Case 顧客からはさまざまな情報がA社へ寄せられるが、中にはクレームもある。そうしたクレームは必ず社長まで届く仕組みをつくっている。そしてクレームの内容に問題が発見されるとPDCAの管理サイクルをまわして改善などにつなげている。(攪拌機/混合機製造・58人)企業と従業員の一体感を いかにつくるか Case B社では持株制度を設けており、全員に同社の株を持ってもらい、利益を配当している。決算賞与は毎期営業利益の10%を出している。こうした報酬制度は従業員のやる気と連動しており、この仕組みを通じて従業員は、企業は自分の持ち物、共同体であると思うようになるようだ。 企業の業績は株主でもある従業員にすべて公開している。月別の決算書も全員に発表している。「受注・売上表」も発表しているが、これは企業の状況がすぐにわかるため従業員にとって影響が大きいという。毎月この表を全員に配っているが20年前から続けている取り組みだ。接待営業や接待ゴルフなどは一切やらないため、接待費はゼロを計上。税金も規則だからしっかり払う。「ものづくり」も納税も社会貢献としてやっており、どっちも同じなので両方ともしっかりやっていくという。(振動計測装置等製造・23人)Step Up1 自社の信用を大きく左右する業務について、 担当者を定期的に交代させている 従業員が40人程度以上おり、組織としての体裁が整っている企業でなければ難しいかもしれませんが、従業員の担当業務や担当部署、担当取引先などを数年おきに交代させることが望ましいでしょう。そうすることで、不正に対する抑止効果が期待できます。また、担当業務などが時々変わることが、従業員にとっても新たな刺激になるという副次的な効果も期待できます。もちろん、担当替えの際には個々の従業員の適性などを見極める必要があります。2 問題が発生した原因を追及して、対応策を定めている 内部通報制度を定めることで、人為的な不祥事に対してはある程度の抑止効果があります。しかし内部通報制度の本質は、問題が大きくならないうちに把握し、再発しないように早期に対応策を構築できる点にあります。問題を起こした従業員に対して単に処分を科するだけではなく、問題が発生した原因を追及して再発しないように対応策を定めなければ意味がありません。例えば、法令を知らなかったことが原因であれば、法令の理解を深めるように勉強会などを開催しなければなりません。 さらに、内部通報制度よりも重要なことは経営者の姿勢です。日頃から企業倫理に則り、誠実な経営を率先垂範しなければなりません。そうすることで、従業員からマイナス情報も確実に伝わるようになるはずです。 近年生じた不祥事には、経営者自身に問題があったケースも少なくありません。そして経営者の規範に問題があれば、従業員も同様に規範はゆるみます。従業員は経営者の鏡だと考えるべきでしょう。出所:消費者庁「公益通報者保護制度に関する実態調査報告書」(2013年)██内部通報制度の導入状況(従業員数別)020406080 100(%)■導入している ■検討中 ■導入する予定なし ■導入していたが廃止した ■無回答1,001〜3,000人(n=330)3,000人超(n=278)301〜1,000人(n=793)101〜300人(n=896)51〜100人(n=659)50人以下(n=647)全体(n=3,624)46.313.939.10.10.710.014.473.70.21.722.017.060.440.018.940.770.412.217.384.58.56.70.30.10.40.696.80.72.20.4

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