191戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 【事業を継続する場合】後継者を指名し、 関係者の理解を取り付けている 経営者が入院や逝去によって経営に携われなくなった際に、誰かに事業を承継させる方針である場合は、当然のことながら事前に後継者を指名しておく必要があります。 重要点のひとつは、後継者の選択肢を子どもに限らず、広く考えることです。経営者の子どもだからといって経営能力に長けているわけではありませんし、子ども自身も後継者になりたいと考えていないかもしれないからです。従業員も選択肢のひとつとして考えてはいかがでしょうか。 もうひとつは、後継者を指名したら、それを従業員、取引先、銀行、親族など、社内外の関係者に知らせて、理解と協力を得ることです。小さな企業が後継者の選定を巡って紛糾すれば経営の維持はおぼつかないからです。また社外の関係者は、後継者が決まっていないような企業と取引するのは不安だからです。2 【廃業する場合】円滑に廃業する手はずを整えている 経営者が入院や逝去によって経営に携われなくなったのをきっかけに、廃業する方針である場合は、円滑に廃業する手はずを整える必要があります。 まず従業員の再就職の手配です。懇意にしている取引先などに依頼しておくのもひとつの手です。なかには、自分が担当していた取引先などを引き継いで独立する従業員がいるかもしれません。その場合は取引先などに事情を説明して、取引の継続を依頼します。 資産・負債の整理の方針も検討しておかなければなりません。特に、負債超過の場合の整理の方針(法的整理か私的整理かなど)は重要です。売却可能な有形資産(設備など)、無形資産(商権など)を洗い出しておくことも必要でしょう。 廃業後の家計を維持する手段も重要です。家計の維持に不安があるのならば、左ページで述べた保険などに加入することを考えるべきです。中小企業事業主など次に定める数以下の労働者を常時使用する事業主・代表者およびその家族従事者・役員業種労働者数金融業50人保険業不動産業小売業サービス業100人卸売業上記以外の業種300人自営業者労働者を使用しない次の自営業者❶個人タクシー業者や 個人貨物運送業者など❷建設業(大工・左官など)❸漁業者(漁船に乗り組む 事業者に限る)❹林業事業者❺医薬品の配置販売業者❻再生利用の目的となる 廃棄物などの収集、運搬、 選別、解体などの事業者❼船員法第1条に規定する船員██労災保険の特別加入制度の主な対象者
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