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179Case Study戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要の資本構成は単純に資本をどこからどれだけ調達したのかを検討すればよいものではなく、それがどのように運用されているのかという運用構成との関係からも検討されなくてはなりません。利益剰余金を増加させ、総資産を減少させる対策も 返済義務のない自己資本の充実は、安定した経営を図るうえできわめて重要です。自己資本比率が低く、借入金など他人資本に依存した経営を行っている企業では、資金繰りも厳しく借入金の返済もできない可能性も考えられます。このため、金融機関からの融資の際の評価は当然厳しくなります。自己資本比率を高めるためには、収益性を高めて当期純利益の蓄積としての利益剰余金を増加させることで自己資本を増加させることが必要です。同時に、遊休資産や不良資産の整理や、売上債権や棚卸資産の適切な管理により総資産を減少させる対策も求められます。Step Up1 資本の充実など企業財務の目標や計画を持っている 企業財務を管理することは、企業における資本の調達と運用に関する意思決定を行うことといえます。資本調達については、株式の発行や金融機関からの借入など資本調達方法の決定のほか、調達期間や最適な調達割合なども決めなければなりません。一方、資本運用については、売上債権の回収計画、設備投資や在庫投資の規模やタイミングなどを決定します。こうした意思決定項目について、資本調達については自己資本比率や負債の返済計画などを、資本運用については売上債権回転率と買入債務回転期間とのバランスや設備投資計画など、それぞれの目標となる指標や計画に基づいて管理していきます。2 現在の借入金の借入金利を知っている 金融機関が企業に融資する際の金利は、主にプライムレート(最優遇貸出金利)を目安とした基準金利に基づいて決められています。企業への貸出金利はプライムレートに企業ごとの信用格付や担保差し入れ状況などを勘案して決定されます。ただし、単純に財務内容などによって機械的に決まるわけではなく、金融機関との交渉も重要な要素となります。従って、企業が融資を受ける際、金融機関から通知を受けた金利をそのまま受け入れるのではなく、自社の借入金利と金融機関の定めるプライムレートとの乖離状態を把握するなど十分な検討をして、金融機関に対する交渉力を持つことも必要です。変化の激しい時代こそ 内部留保をしっかり Case K社はこれまで赤字は一度も計上したことがなく、昭和40年からは無借金経営を続けている。このため自己資本比率はきわめて高く、中小企業としては強靭な体力を持つ。これまで思いきった投資や事業転換を迅速に行うことができたのも、健全な財務内容を維持してきたからこそといえる。(めっき技術開発・92人)

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