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178Chapter5Business Methods5-8過度な借入金依存にならないよう、自己資本比率などを意識している自己資本比率は、企業経営の安定性を表す指標 貸借対照表上の純資産を自己資本、負債を他人資本と呼ぶことがあります(下図参照)。他人資本・自己資本合計は総資本と呼ばれ、これは総資産の金額と等しくなります。自己資本比率は総資本に占める自己資本の割合を示します。借入金など他人資本は返済義務があるのに対して、株式発行など自己資本は返済義務がありません。従って、自己資本比率が高いほど企業の経営は安定し、倒産しにくい企業と考えられます。つまり、自己資本比率は企業経営の安定性を表す指標といえます。 貸借対照表の総資本の構成要素としての自己資本と他人資本の割合を、企業の資本構成と考えることができます。この資本構成が適切でないこと、つまり他人資本が過大、自己資本が過小であるという現象は、他人資本の影響を受けやすい不安定な企業経営とみなされます。ただし、その現状だけを捉えて、そのような状態にある企業がただちに経営状態が不良であるということはできません。企業の成長発展段階や業種によって、適切といえる資本構成は異なるからです。資本構成は、企業の成長発展段階や運用構成からも検討 起業直後の発展拡大期においては資金需要は強いものの自己資本による調達は困難ですので、他人資本に依存せざるを得ないケースも多くあります。また、業種によって固定資産の多い設備型経営の場合には、相対的に他人資本に依存する割合も高まります。従って、企業の資本構成を考える場合には、企業の成長発展段階や業種の特質なども考慮して判断すべきです。 また、企業の資本構成を考える場合には、必要に応じて長期資本と短期資本に区分して検討することも必要です。長期資本は自己資本のほか固定負債も含むものです。短期資本は流動負債として捉えられます。企業における短期的な債務支払い能力をみる場合には短期資本が流動資産で返済可能かどうか、長期的な債務支払い能力をみる場合には固定資産が長期資本でカバーされているかどうかを検討することになります。つまり、企業資料:山北晴雄作成総資本総資産短期資本長期資本資産流動資産流動負債固定負債資本金剰余金他人資本(負債)自己資本(純資産)固定資産██貸借対照表

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