176Chapter5Business Methods5-7経理や会計手続きがルール化されている会計制度に基づく経理規定や会計手続きを 会計制度は、企業の経営活動に基づく会計数値を継続的に記録・計算して報告するシステムです。この会計制度を業種や企業規模に合わせて、各企業単位での処理方法としてまとめたものが経理規定や会計手続きです。年度が変わるたび、あるいは経理担当者が変わるたびに経理処理や会計手続きが変わるようでは、企業の会計業務の統一性を図ることができません。そこで、経理規定や会計手続きを文章化することによって、一定のルールに基づいて処理することができ、トラブルを未然に防げるのです。 会計制度を簡単に図示すると右図のようになります。予算(①)はこれから始まる事業年度の企業活動を予測して表したもので見積財務諸表(②)として作成されます。この見積財務諸表は月次レベルで実行予算(③)として表され、実際活動としての実績月計表(④)が出ると実行予算と比較検討(⑤)されて今後の指針が決まります。また、1事業年度が終わると、見積財務諸表と実績財務諸表(⑥)が比較検討され、差異分析(⑦)などが行われます。そして、このシステムは勘定組織(⑧)、帳簿組織(⑨)、会計担当組織(⑩)の3つの柱から構成されています。 企業の経営活動を会計数値によって記録・計算した結果は、経営者および経営管理者など企業内部の関係者、株主あるいは投資家、金融機関をはじめとする債権者、国、地方自治体などに報告されます。そして、それぞれ報告を受ける人たちの意思決定に役立つような内容と表示が要求されるのです。※注:文中の( )内の番号は右図に付された番号を示します。会計制度をチェックするために必要な確認事項 会計制度についてのチェックは、企業の会計全体をチェックするにあたっての基礎となるものです。会計制度がどのように展開しどのように運用されるかによって、会計数値の測定・集計の迅速性や正確性、報告の信頼性にも大きな影響を与えることになるので、次のような事項の確認が必要となります。❶使用する勘定科目は誰がみてもわかるよう取引の内容を明瞭に表していて、それぞれの勘定が有機的に結合して企業の経営成績と財政状態を適切に表示できるような勘定組織になっていること。❷帳簿組織は会計を処理するための道具として、企業規模と取引数に応じて適当な帳簿が選定され、これら帳簿を有機的に結合して一定の体系のもとに編成し組織化されていること。❸会計担当組織のなかに、会計上の虚偽および誤謬の発生を防止するような仕組みが構築されているとともに、外部の会計専門家(⑪)との協力体制が構築されていること。
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