175Case Study戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 投資資金は自己資本(純資産)や長期借入金など 安全資金で調達されている 固定資産への投資は長期にわたって資金を固定化させるため、できるだけ返済義務のない自己資本でまかなわれることが望ましいです。しかし、中小企業の資金調達の現状を考えた時、実際に自己資本だけでまかなうことは非常に困難です。従って、自己資本のほかに長期借入金など返済期限の長い固定負債を加えた長期の安全資金でまかなうようにしたいものです。つまり、「固定資産÷(自己資本+固定負債)」の値を1以下にするよう管理することが重要です。返済期限の短い短期借入金などの流動負債まで投入することは資金繰りをきわめて困難にし、非常に危険であるため避けなければなりません。2 投資の際、投資の予定回収期間を算定し、 借入金の返済期間とのバランスを考慮している 設備投資のチェックは、その内容として資金運用と資金調達に合理性が保たれているかという視点が重要です。資金運用については投資計画の設定に無理がないか、設備投資の経済性の計算が十分になされているかが要点となります。また、資金調達については、必要資金量が確保されるか、借入金利などの資本コストは設備投資による収益との適合性があるか、財務の安定性を維持できるか、などが検討事項となります。特に算定した投資の予定回収期間と借入金の返済期間とのバランスが崩れると資金繰りに与える影響も大きいため、資金の調達と運用の両者を総合する観点からの管理が肝要です。メニューの多い 資金支援策を使いこなせ Case めっき業界は国から経営基盤強化の業種指定を受けていた。このため減価償却の特例措置が適用されていた。H社はこの制度を追い風に近年、かなり積極的な設備投資を実施した。(プラスチック金型/装飾めっき・80人)██設備投資案一覧表No.名称タイプ投下資金投資案からの利益(税引後)投資案からの減価償却費利益率回収期間判定1新機械設備A拡張3,00040060013.3%3年○2新機械設備B拡張5,00050050010%5年×利益率回収期間No.1No.1No.2No.2400×100 = 13.3%3,0003,000= 3年400+600500×100 = 10%5,0005,000= 5年500+500資料:山北晴雄作成
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