173Case Study戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 設定した売上高目標と実績とを対比して、 その差異の原因を追究している 企業の業績は、前期実績と当期実績との比較、損益計画における計画と実績との比較の両面から分析できます。特に、企業を取り巻く内外の事業環境の変化をもとに立案した損益計画における計画と実績の比較は重要です。新年度の経過とともに、計画と実績の差額を把握し、その原因を分析して残りの期間での対応策を検討していきます。外部環境の原因分析としては、顧客や業界の動向、競争関係、法的規制の変化、新技術・新商品の登場などの視点が考えられます。一方、内部環境の原因分析としては、営業体制、棚卸資産の購買体制、設備の稼働率、設備投資の金額やタイミングなどの視点が考えられます。2 販売費や一般管理費について予算を立てて管理している 販売費は、商品やサービスを販売するために必要となる費用で、販売担当者の人件費、旅費交通費、販売手数料、販売促進費、広告宣伝費、接待交際費などがあげられます。一方、一般管理費は企業を運営するために必要となる費用で、総務や人事・経理担当者の人件費、光熱費、減価償却費、通信費などがあげられます。販売費や一般管理費は仕入原価や製造原価に比べて、管理が行き届かずつい膨らみがちになります。費目ごとに予算を設定して地道な進捗管理をするとともに、重点的に管理していく費目を選定して、予算実績管理に組み込んでいくことも必要です。現場にも収益感覚を 持たせよ Case1 社内での目標管理のために、F社は社内加工賃を計上している。機械はリースで費用化して、例えば毎月28万円というように経費として明示する。現場にも収入と支出を意識させて、収益目標を持たせるための取り組みだ。同社は、売上が出なくても利益が出る体制をつくろうと体質強化にも努めてきた。その成果として、仕事が増えてきても10年間経費が減り続けているものもある。(電子機器用部品製造・50人) Case2 G社の社長は社会人になって10年間はICの回路設計をやっていた。その時徹底的にVA(価値分析)を叩き込まれた。そうした経験もあり製品は個別に収益を管理する必要性を感じており、社長が就任した時から実施している。(プラスチック製品等製造・22人)██年次損益計画(単位:千円)1年目2年目3年目売上高1,0001,2001,500売上原価 600 720 900売上総利益 400 480 600営業費人件費 150 170 190交通費 30 50 70光熱費 20 30 50賃借料 10 10 20その他の営業費 10 10 10営業費合計 220 270 340営業利益 180 210 260支払利息 80 100 110経常利益 100 110 150資料:山北晴雄作成
元のページ ../index.html#173