170Chapter5Business Methods5-4損益分岐点(収支トントン)の売上高を把握している分岐点以下で損失、超えれば利益。損益分岐点が重要 企業の損益分岐点とは、売上高と総費用がちょうど等しくなる点です。その点以下では損失が生じ、その点を超えてはじめて企業は利益を得ることができます。これを図示すると右図のようになりますが、右図では点Pが損益分岐点となります。企業が経営を続けていくためには、利益を出さなくてはなりません。損失が続けば、給料やその他の経費の支払いも滞り、ついには倒産に至ってしまいます。そこで、自社ではどの程度の売上を上げればとりあえず損失は出ないのか、つまり、損益分岐点や損益分岐点の売上高・販売量を把握しておくことが非常に重要です。損益分岐点から目標利益を達成するための売上高までわかる 損益分岐点における売上高や販売量を求めるためには、企業でかかっている総費用を変動費と固定費に分解しなければなりません。ここで、変動費とは売上高に比例して変化する費用で、仕入原価、材料費、外注加工費などがあります。一方、固定費は売上高の増減には関係なく毎期一定額発生する費用で、正社員の人件費、減価償却費、保険料、家賃、リース料などがあります。変動費は売上高に比例して増減するため、変動費/売上高(これを変動費率と呼びます)は概ね一定となります。 損益分岐点では売上高と総費用が等しいため、売上高から総費用を差し引いた営業利益はゼロとなります。 つまり、です。変動費は売上高×変動費率で表されるため、この式はと書き換えることができます。すると、この式はとなり、損益分岐点における売上高はと計算することができます。 つまり、売上高に占める変動費の割合(変動費率)と固定費の金額がわかれば、収支トントンになる売上高、すなわち損益分岐点の売上高を求めることができます。例えば、変動費率が80%、固定費の金額が100万円ならば、損益分岐点の売上高は、 100万円÷(1−0.8)=500万円と求めることができます。 また、この式を使って目標利益を達成するための売上高を求めることもできます。もし、100万円の営業利益を上げたいと考えるならば、(1)式は 売上高−(売上高×変動費率+固定費)=100万円売上高−総費用=売上高−(変動費+固定費)=0売上高−(売上高×変動費率+固定費)=0…(1)式売上高×(1−変動費率)=固定費損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費率)
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