169Case Study戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 商品別の粗利益率や加工高比率の把握をし、 低下している場合にはその原因を追究している 企業では粗利益や加工高を拡大するために売上高の増加を図ろうとします。しかし、売上高の増加がそのまま粗利益や加工高の増加につながるわけではありません。粗利益率の低い商品・製品ばかりが売れると、かえって企業全体の粗利益が低下してしまう場合さえあるからです。従って、まず粗利益率ないし加工高比率を商品・製品ごとに計算してグループ化します。粗利益率の高い商品・製品グループについては既存得意先の深耕や新規得意先の開拓など売上高の拡大策を検討します。一方、粗利益率の低い商品・製品グループについては、製品・商品別や得意先別に原因分析をして改善策を講じることが必要です。2 粗利益または加工高に対する人件費の割合を把握している 粗利益または加工高に占める人件費の割合を労働分配率といいます。人件費の増加率が粗利益や加工高の増加率を上回ると労働分配率は上昇し、収益性の悪化を招きます。このため、健全経営を行うためには粗利益や加工高を高めると当時に、人件費を管理することにより労働分配率を一定の比率内に収めていくことが必要です。一般に、労働分配率が50%を超えると、経営体質がかなり劣っていると評価されます。業種や企業規模を考慮して各企業にとって適正と考える労働分配率を設定し、人件費よりも粗利益や加工高の上昇率が上回るように人経費や従業員構成を管理していくことが重要です。本日の利益だって 把握できる Case C社は、世の中の変動が大きいため、日々損益や納品状況、品質を確認していく必要があるという。そして現在の経営状態が瞬時にわかることが、変化の激しい時代のかじ取りには不可欠だと考えている。財務管理面では毎日の収支が出てくるようにシステムが構築され、物の動きだけでなくカネの動きも迅速に把握できるようになっている。つまり、“日次決算”ができるということだ。(プラスチック金型/装飾めっき・80人)██売上高・売上原価・売上総利益商業の場合損益計算書Ⅰ売上高1,000Ⅱ売上原価期首商品棚卸高150当期商品仕入高(+)700 計850期末商品棚卸高(−)250 (−)600 売上総利益(粗利益)400製造業の場合損益計算書Ⅰ売上高1,000Ⅱ売上原価期首製品棚卸高150当期製品製造原価(+)700 計850期末製品棚卸高(−)250 (−)600 売上総利益(粗利益)400製造原価報告書材料費260労務費240経費230 当期総製造費用730期首仕掛品棚卸高(+)120 計850期末仕掛品棚卸高(−)150 当期製品製造原価 700 資料:山北晴雄作成
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