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167Case Study戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 現在の金融機関からの借入残高は、月商の何カ月分かを把握している 金融機関から資金調達をする場合には、短期融資にしても長期融資にしても借入総額や返済金額を資金繰り表の中に入れてシミュレーションを行うことが大切です。そのうえで、借入総額・返済期間・返済方法・1回ごとの返済金額を決めることによって、資金繰りが円滑に行われ、黒字倒産が避けられます。借入金の返済方法としては借入金額の元本を均等割りして返済する元金均等返済の方法が一般的ですので、借入実行後は、1カ月ごとの元金返済金額を資金繰り表の中で常に確認すると同時に、現在の借入残高が自社の月商の何カ月分に相当するかなど、その金額を常に明確にして管理することが重要です。2 長期的な資金需要を予想して適切な資金計画を立案している 資金調達には、株式や社債の発行による直接金融、金融機関からの借入れによる間接金融、売掛金や受取手形による企業間信用、そして留保利益や減価償却による自己金融があります。一般に中小企業では株式や社債の発行は困難を伴うことが多く、借入にあっても安易に金利の高い資金を導入することは危険です。従って、設備投資などの長期的な資金需要にあっては自己金融を基本とすべきです。しかし、それだけでは不足する場合には、具体的な設備投資計画のもと、国や地方自治体、政府系金融機関の設備資金など低利な長期資金を組み込んだ資金計画を立案することが重要です。カネの出入りは うまく設計する Case B社では運転資金の必要はなく、設備資金以外の借入金はないため、資金繰り表は要らないという。それは買うほうと売るほうの支払い方法が逆転しているためだ。材料を買うのは集中して手形で買い、売るのは細かくして現金で回収している。小口の顧客をたくさんつくることで現金回収が可能となり、資金繰りが安定する。(化学工業薬品製造・84人)○○年○月支出収入項目予算実績項目予算実績経常支出現金仕入 50 60前月繰越(A) 10 10買掛金支払 50 60経常収入現金売上100110支払手形決済 50 60売掛金回収100110給料 20 20受取手形期日落100110支払利息割引料 5 7その他の経常収入 10 10その他の経常支出 5 8経常支出合計(D)180215経常収入合計(B)310340経常収支(B−D)130125その他収入短期借入金 10 20その他支出設備投資 10 12長期借入金 10 10決算資金 – –短期借入金返済 1 1長期借入金返済 1 1その他支出合計(E) 12 14その他収支(C−E) 8 16合 計(D+E)192229その他収入合計(C) 20 30次月繰越148151合計(A+B+C)340380██資金繰り表資料:山北晴雄作成

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