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152Chapter4Business Methods4-6生産性の向上を図るために、IoT・クラウド活用を推進しているIT活用は効率化から利益向上へ IT(情報技術)の進歩には目覚ましいものがあります。さまざまな技術が登場しているだけでなく、機能の向上の一方で価格が急速に低下します。少ない人材で効率的に業務を行うには、そうしたITを積極的に活用することが不可欠です。2015年に中小企業庁が実施したアンケート調査によれば、IT投資を実施した中小企業は、していない中小企業に比べて、売上・経常利益率ともに高いことが明らかになりました。 中小企業の場合、ITというと多くの場合は情報システムを指し、会計業務や受発注、販売管理、在庫管理、生産管理などを中心に活用されてきました。これらの分野で活用を進めることも必要ですが、それだけでなく販売業務や生産業務、サービス業務など現場業務での活用を促進しましょう。直接部門での活用は利益に直結し、IT化の効果が大きい分野です。 例えば商品の陳列効果を高めるために、商品の隣に薄型のディスプレイを置いて映像と音声で商品説明や取り扱い方法などをアピールすれば顧客から注目されます。小型のデジタルカメラを店内の目につく所に、商品と一緒に置けば物めずらしさを演出すると同時に、万引きやいたずらを防止する効果もあります。生産現場でもセンサーやスキャナーとコンピュータを結ぶことで進捗管理や品質管理などもできます。クラウドの活用などで投資を抑え、検証しながら効果を高める 今日では、ソフトや情報システムは自社開発するのではなく、商品化されたパッケージを利用することが可能です。低価格であるだけでなく、ソフトの業務方法や管理方法に合わせることで業務改革ができます。さらにより高度な情報技術利用として、必要な機能だけ選択して開発者などからソフトウェア提供を受けて利用する「SaaS」や、インターネット上でグローバルに拡散した情報資源を使って、自社で必要な情報サービスやアプリケーションサービスを利用する「クラウドコンピューティング」も注目されるようになっています。 ただいたずらにIT化すればよいものではありません。その経済的な効果を検証することも大切です。どんな効果が得られるのかを検証することは、その利用方法の見直しにもなります。そして効果が高い物はさらに活用を促進し、また周辺や前後のIT機器とネットワーク化して統合的に活用することも効果を高めます。

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