144Chapter4Business Methods4-2商品や生産現場の状況が把握しやすいように「見える化」に取り組んでいる見える化で現状認識と問題の改善へ 企業の業務が円滑に行われているのかいないのかはわかりにくいものですが、企業活動の実態がわかると何を改めるべきかがわかります。そのためにも、業務の現状が目で見えるようにすることが大切です。トヨタ生産システムの重要な考え方のひとつに、問題を隠さずにわかるようにする可視化があります。問題を目に見えるようにすることで、改善につながるからです。 仕事がうまくいっているか、うまくいっていないのか、何が売れているのか、何が売れていないのか、それを日常の仕事のなかで具体的に見えるようにすることが大切です。そうすることで、社内でどこに問題があるのか顕在化させることができます。例えば次のような「見える化」があります。⃝ 売上や生産状況が計画通りに進んでいるのか、実績をグラフで示す。⃝ 業務スケジュールや進行状況をチャート化する。⃝ 黒板やコンピュータに主要な業務スケジュールと実績状況を掲示する。⃝ 売り場の陳列状況やバックヤードの商品置き場を見れば、売上状況がわかるように商品の並べ方を工夫する。⃝ 不良品や仕損じ品、キズがついたり傷んで劣化した商品を隠さず見えるようにしておく。見える化で顧客の信頼獲得も 昨今では、商品・サービスに対する「安全」「安心」がより求められるようになっており、その点でも「見える化」は重要です。「安全」のために、品質管理および検査記録、工程の記録などの情報管理を徹底し、それを開示することが製品・サービスに対する「安心」につながります。 また「見える化」によって顧客の「信頼」につながる効果もあります。例えば、あるデパートではトイレの片隅に1日何回かの掃除予定とチェック欄のある表を貼っています。これは従業員の業務管理用で清掃計画と清掃忘れがないのかの確認表ですが、顧客にとってもきちんとトイレ清掃に力をいれている企業だという安心につながります。他にも、商品に生産者の名前や写真を入れるのもその方法です。「見える化」は問題発見ばかりでなく、販売促進活動にさえ活用できるのです。 社内のさまざまな業務について「見える化」運動を始めてはいかがでしょうか。██見える化の例売上のグラフスケジュール売上がわかる陳列
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