129Case Study129戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要の機械以外についてはまったく関心を持たない。依頼されたことは完璧にこなすが、職場全体で協力して何かをしようとしても、非協力的になってしまうことがあります。年齢が高いケースが多いのですが、横につなぐことや、新人の育成を担当させる、職能の拡大を意識的に行う、などの必要があります。このような人は保守的で今までのやり方を変えたがりません。籠もっていては企業全体の生産性は上がらないということを納得してもらう必要があります。社長自らが話し合いの場に立ち会って、引き込むことが重要です。Step Up1 委員会やプロジェクトチームなど、 部門横断的な組織を必要に応じてつくっている 部門間のなわばり意識を極力防ぐには部門を超えたメンバーを集めて、プロジェクトチームを構成し、部門横断的なテーマの解決を図るやり方があります。このような活動が活発な企業では原籍にかかわらずに、全社的な視点から議論ができる人材が育ってきます。 しかし、プロジェクト・マネージャーの選抜では検討課題分野の専門能力からマネージャーを決めるべきで、年功的な選抜にしてはいけません。また、中小企業の場合は全面的に任せるというよりも、社長自らがプロジェクトのテーマ設置、節目でのチェックに関わることが多いのですが、意識的にプロジェクト・マネージャーに権限委譲をすることが大事です。2 部門間の人事異動や人材交流を進めている 独創的な発想は、日常の仕事を繰り返しているだけではなかなか出てきません。3年とか5年とかを節目にして部門を超えた人事異動をすることで新たな発想が出てくるものです。その際に重要なのはどのような人材に育ってほしいのかを意識しておくことです。人材育成には専門性を極めるI型の育成形態と、10年ほどは専門性を積み上げ、その後に関連分野を広げていくT型の育成形態とがあります。研究所などは前者ですが、多くの日本企業のビジネスマンは後者のT型をめざしています。経験年数が10年ほどになったら、意識的に周辺の異分野の仕事に人事異動をするわけです。営業から人事とか、製造からサービスとかへの異動のイメージです。こうすることで、部門間のコミュニケーションは格段に改善されます。こうやって生かす プロジェクトチーム Case1 X社の新製品開発のプロジェクトチームには、テーマ担当者(責任者)がいる。テーマ担当者は年功で選ばずに、その開発テーマに最も興味を持っている人を選ぶ。そのほうがチームにおけるリーダーシップが期待できるからだ。そうして選んだ責任者はチームの会議を見ていても全然違うという。チーム担当者は年齢に関係がないので、チーム員と職位が逆転することもある。(各種計測機器製造・94人) Case2 Y社は開発体制を一新、プロジェクトチーム制を導入した。核となる製品の開発スピードをアップさせるためだ。ヒット商品となったデジタル屈折計は、この新体制のもとで生まれた。開発、製造、営業の各部門からメンバーを募り少人数のチームを結成、開発に集中させた。従来のやり方は複数の開発案件が並行して緩やかに流れるスタイルだが、この時は猛スピードで開発を進め、わずか6カ月で製品を完成させた。これは従来の4倍のスピードだ。開発速度は上げても、「ものづくり」にはこだわっている。(糖度計等製造・121人)
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