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128Chapter3Business Methodsセクショナリズム(部門間対立)が生じる理由 営業部門には営業なりに、生産部門や開発部門に対して主張したいことがあります。もっと売りやすい物を、売れる物を作ってほしいと。営業は顧客からのクレームの前面に立つ立場にあり、それに応えなければ営業活動もできません。 一方、生産部門では品質向上と納期の短縮化、在庫の圧縮、コストダウンが至上命令で、それには計画的に生産活動を進めるのが原則です。しかし、営業からお得意様からの要請であると、特急の割り込みをすると生産計画を乱して、あちらこちらに無理を生じさせ、結果的にコストアップになってしまいます。また、シェア獲得優先による受注競争で採算割れに近い無理な受注をしてくると、それは結果的に生産部門にしわ寄せされることが多いものです。受注生産品が多いような工場の製造部門と設計部門との間でも不具合箇所が生ずると、責任のなすり合いでけんか腰になってしまうケースをよく見受けます。部分最適から全体最適へ それぞれの部門は一生懸命になって部分最適にはなっているかもしれませんが、全体最適になっているとは限りません。 第1に相互に連携しやすいように、情報の共有化を図ることが大事です。同じ情報をもとに議論すれば、結論への到達は早くなります。ワイガヤで議論すると隠れていたインフォーマル(非公式)情報も表にできます。これがさらに情報の共有を進め、コミュニケーションギャップを埋めるのです。オープンな議論ができる雰囲気にあるかどうかが重要です。混乱は不正確な情報に基づいて起こるものです。オープンな議論をすることと責任追及は別のことです。責任追及になれば、隠してしまって、真実の情報は誰もいい出しません。 第2には全体最適をめざすのですから、経営トップから、しっかりした大きな方針が打ち出されていることが大事です。大きな方針に基づいて、各組織が動いているということが理解できていれば、ベクトル合わせは可能になります。 第3に部門間をつなぐ人材を意識的に育てておくことです。ローテーションをするまでもなく、日常業務のなかで連携する場面をたくさんつくっておくわけです。壁を崩すのには職場横断的な委員会活動やプロジェクトチーム活動などを頻繁に開催するのが有効なのですが、原籍での日常業務とこれらチームでの活動が同時期に起こりますので、本人の負荷は大変なものになります。原籍での上司とプロジェクトチームのリーダーとが正当に評価をしないと、活動は活発になりません。職場代表が集まって、このような場が利害調整の場になってしまったのでは本末転倒です。前者の目標を見失わないように、目的意識とチェック、アクションのループを常に意識するような活動であってほしいです。 第4に職人的な人が中心になっている機械加工の職場などで見られるのですが、自分の担当する機械はきれいに整理整頓を徹底しているが、担当営業や生産など部門間が対立することなく、同じ目標に向かって協力できている3-15

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