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126Chapter3Business Methods個人の意志を尊重し、自律型組織へ 活気のある企業に行くと、従業員がてきぱきと動き、いかにも仕事を楽しそうにしているのを見かけます。自然に挨拶も出て気持ちのよいものです。上司からいわれて動くというのではなく、自主的に考えて動ける人間が多いほど組織は活発化するものです。企業や職場の目標と個人の目標の「ベクトル合わせ」は当然ですが、そのなかで個人の意志を最大限に尊重する社風があるかどうかでしょう。せっかくやる気を持って目標を設定しても、一方的に企業の方針に合わせることを強要させられれば、誰でもやる気をなくしてしまいます。企業の方針を受け、個人の目標を納得しながらすり合わせることが「ベクトル合わせ」には重要です。 特に、仕事のなかに創意工夫の余地があり、自分が提案したことが実現していくというかたちで達成感が得られるのが理想でしょう。一見単純な仕事であっても、より効率的な仕事のやり方へと変えていくにはどうすればよいのかとか、問題がある工程はどこにあるのかといった改善提案に結び付いた活動へと展開することで、参加意識を高めることができます。QCサークルなどの改善活動にも積極的に参画することで、課題が解決されて、自分たちの仕事がやりやすくなれば、活動自体が楽しくなって、時間を忘れて夢中になるといった経験は誰しもあるものです。そのような経験が、その後の仕事意識の向上にもつながってくるものです。 ここで改めて、新しい価値を創出するのは、集団ではなく常に「個人」であることを認識すべきです。企業の成長の過程では、外国人に限らず、尖った個性ある人材を含めて、異質で多様な知識・知恵を統合し、ひとつの価値にまとめていく構想力というものが求められます。個が自由に機能しながら組織全体とも調和して、組織と個の両方の行動が生かされる経営をめざします。そのためには、従業員の目標管理が非常に重要な役割を果たします。組織と個人の要求を統合する目標管理が重要 目標管理では、各人が上司と相談しながら目標を設定するわけですが、組織の大きな方針とのすり合わせによって、従業員自らが目標に修正をかけながら仕事をします。そして、その経験を通して自分自身も磨いて成長していくように心がける必要があります。組織目標で押さえつけられては、個人のやる気を引き出すのは難しいのです。かといって、まったく自由に任せた状態で成果を上げることはさらに難しいのです。 目標管理がめざすものは、「組織の要求と個人の要求の統合にあり、統合マネジメントが目標管理そのもの」といわれています。つまり、組織のやるべきことと個人のやりたいことを結び付けていく、あるいは一致させていくことが大事です。上司が期待する目標と、部下が望む目標とは必ずしも一致するわけではありません。組織にとっても個人にとっても望ましい目標をすり合わせて設定し、その達成に向けて努力をするわけです。よく考えれば、当たり前のことを当たり前にやっていくことが目標管理の基本でもあります。仕事の面白さを体験させるなど、社員のやる気を引き出す工夫をしている3-14

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