HTML5 Webook
124/233

124Chapter3Business Methods同一労働・同一賃金が基本 特徴・メリハリのある人事制度が企業の魅力を高めます。例えば、成長している、ある中小企業の人事制度では、以前から能力主義管理が徹底されていました。 とはいえ、社長から見て優秀に思えるからといって、あまりにも情意考課を重視しすぎては、他の従業員からの公平性、納得性の面で同意が得られません。また、客観的に見て一番優秀な人材であるからと抜擢すると、2番手、3番手がやる気をなくしてしまいます。あまりにも大きな差がついてしまい、2番手、3番の従業員が辞めてしまうといったことになってはもとも子もないのです。 下図のように、賃金水準は公平性を基準に決められます。それは、社外の同業他社との比較とか、地域内の同レベルの企業との比較といった外部公平性と、社内での担当職務の格付や、職能、社内資格などによる内部の公平性とからなります。とはいえ、支払い能力からみても、全員を大企業と同じように処遇するわけにはいきません。コアになる人材を核として、担当職務や貢献度をもとに賃金水準を決めていくことになります。納得性や、非金銭的な報酬もポイント このような公平性に加え、納得性も重要です。いくら社長がよいと思っても、世間相場をまったく無視したものであったなら、よい人材は集まりません。 しかし、従業員が納得できる賃金を出したくても、支払い能力から出せないという現実も少なくないでしょう。こういった場合にも、一定水準のスキルを身に付ければこのように処遇されると理解させたり、OJTが教育の中心であっても、いろいろなことを勉強させてくれているということを理解させたりすることが重要です。このほか、納得性という観点からは、表彰プラス副賞のような非金銭的な報酬も処遇のカギを握っています。これであれば、縁の下の力持ち的な役割の人にも、一生懸命によい仕事をしたケースにも、きちんと対応できます。 こういった取り組みにより、若者の定着も改善していくと思われます。賃金制度や人事・評価制度を明確にしている3-13██賃金水準の決め方賃金水準労働分配率職務価値他社比較等級間格差マーケットプライス職種間格差外部公平性(External Equity)内部公平性(Internal Equity)出所:日本人材マネジメント協会「人材マネジメント基礎講座」 社会経済生産性本部(2009年)

元のページ  ../index.html#124

このブックを見る