122Chapter3Business Methods右腕となる人材が企業の成長へのカギ 中小企業の経営は社長1人で活躍しているだけではかなり無理があります。特に内部管理を任せられる右腕となる人材がいるかどうかで、企業の成長スピードは大きく異なってきます。製造業の場合は優秀な工場長がいるかどうか、あるいは研究開発、生産技術などをカバーできる技術者がいるかどうかが、キーポイントです。 製品開発のプロジェクトを進めようとするなら基本方針や基本ノウハウは社長が持っているのが普通ですが、それをより具体化するには開発を任せられる優秀な技術者の存在が決定的に重要となります。細々と指示しなくては動かない技術者ではなく、自律的に課題を解決していく頼れる技術者です。 また生産に移す段階では工場長の役割が一段と重要になります。具体的に目標とする原価で、高品質、短納期での生産体制を低コストで実現しなくてはならないのです。なお、試作段階ではトラブルがつきものですが、これを着実に解決してくれるような人材への期待は大きいでしょう。基幹人材の育成が急務 その他のコア要員としては営業担当者がいます。自ら企画提案型の営業ができるかどうかに加え、顧客からのクレーム情報、改善提案情報をすくい上げて、自社に持ち帰り、経営者、技術者や工場長とともに検討を加える。そして、顧客側との中間に立って解決ニーズに対して、幅広く対応していくことができる営業担当者が育っているかどうかです。 日本商工会議所が2015年に実施したアンケート調査では、日本の中小企業のうち約半数が人材不足の課題を抱えており、特に、「一定のキャリアを積んだミドル人材」の不足に悩む中小企業が多いことが明らかになりました。経営者の参謀・右腕として、また、製品開発や製造、営業の中心となる「基幹人材」の確保・育成が急務となっています(下図参照)。経営者の参謀・右腕となる幹部が育っている3-12██人材不足の企業が求める人材資料:日本商工会議所「人手不足への対応に関する調査集計結果」(2015年)一定のキャリアを積んだミドル人材67.9高校卒業新卒社員40.4大学卒業新卒社員32.1管理職経験者等のシニア人材12.4その他18.6無回答0.880405060703020010(%)n=1,319
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