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121Case Study121戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要ているかを検討するためにいろいろと調べるものですが、研修を受けた仲間である他社の人事担当との情報交換がきわめて有効な情報を与えてくれ、参考になります。 このような利害を超えた関係を構築できるのは、一緒に学んだ仲間との意識が働くからです。人的なネットワークでは濃密な強い関係(社内)も大事ですが、堂々巡りで結論が出ないような問題を解決する糸口に関しては、弱いつながりで、利害関係を超えたような人的ネットワーク(社外)が重要な役割を果たすのです。短期的な視点で考えず、中長期的に従業員を育ててくれる、社外の教育の場に積極的に送り出す度量が経営者には欲しいものです。Step Up1 従業員主導で全社的な発表会をやっている 組織のメンバーには、事情が許す限り、個人のレベルで自由な行動を認めるようにすべきです。その自律性によって、個人が新しい知識を創造するために自分自身を動機づけることが容易になります。個性ある独自のアイディアが自律的な個人から生まれ、それがチームのなかに広まり、やがて組織全体のアイディアとなるのです。全社的に広めるためには、全社的な発表会が効果的ですが、従業員にもっと関わりを持たせるには、従業員主導で発表会の企画から実行まで任せるほうがよいでしょう。 自主的な活動として、QCサークルがあります。もともとは個人やグループの自律的な活動から生まれましたが、ノルマを与えられたことによって自律性を失い、低迷している例が少なくありません。自律性を尊重した発表会であることが動機づけにもなります。2 外部の研修情報を従業員に公開し、参加希望を募っている 世の中には多くの教育訓練機関が存在しますが、安いことを売りにして内容的には問題のある研修も少なくありません。受けてみなければ、その質を推し量ることが難しいからです。有名な講師が来ても雑談をして、内容のある話が聞けなかったということが少なくありません。せっかく、忙しいなかで研修を受けるわけですから、厳選して従業員に伝える必要があります。そして、従業員が自ら参加したいと手をあげられるように、外部の機関で行われている研修情報を公開することが重要です。従業員が食事をする場所への掲示や管理・監督者に回覧して、朝礼などの場で紹介するなど情報を積極的に提供し、企業にとっても重要な研修であるなら指名で行かせることも必要でしょう。社内外での勉強の場は 工夫次第でいろいろできる Case1 R社が中心となる共同受注グループでは3人の技術顧問と契約しており、合宿形式の研修会も開いている。技術顧問は大手メーカーの技術者OBなどだ。研修では金型に限らず工程管理の勉強などもしている。現場の従業員は社外で行われる外部研修に派遣して教育することはできないので、自社で教えてくれる人が来てくれるとありがたい。(プラスチック金型設計製作・13人) Case2  メーカーであるS社の得意先小売店における研修では、注文取りと商品補充のほか、店長の声を聞くようにもさせている。生産現場研修では中国にある工場を見せている。製品がどのように作られるのかを理解させ、それを製品開発に生かすためだ。(文房具製造・136人)

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