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120Chapter3Business Methods社内勉強会と社外教育のメリット 人材育成に熱心な企業を訪問すると、従業員が自主的な勉強会を頻繁に開催している例が多くあります。日本の職場ではチームで新しいことを考え出すことが多く、個人的に学ぶなかで個人の内面に蓄積している知識をそれぞれが出し合って共有化して議論しています。それに対して、米国企業では個人主体で知識創造を行うといわれており、その分、さまざまな分析手法やプレゼンソフトを使った手法や、文書、マニュアル、コンピュータ・データベースなどの活用が進んでおり、それによってつくられる共有された知識が重視されているといわれます。 日本企業の強さはチーム力とよくいわれますが、その背景には自立した個人がワイガヤで議論しながら切磋琢磨していく、自由な勉強会が大きな役割を担っており、進んだ企業では教材などを経済的に支援し奨励しています。とはいえ、自主的な勉強会が動き出すのはそう簡単な話ではありません。むしろ、社内での勉強会・研究会を定期的に開催して、その準備のために、自主的な勉強会を連動させることのほうが現実的です。 また、社外での教育の場も重要です。近年では、技術者については継続教育が重要視されるようになっており、専門家団体である学会の研究会・講習会への参加や学会発表などが継続教育のポイントとして加算され、登録されるシステムも動き始めています。専門性に磨きをかけて、社会的通用性を持ちたいと考えている自律的な技術者にとって大きな動機づけとなってきています。このような技術者は企業内にとどまらず、専門家同士のネットワークを通じて最新の情報を得て、自分自身の専門性を向上させるだけでなく、企業にもその成果を還元してくれるのです。社外交流のゲートキーパーが課題解決の糸口に 技術者に限らず、企業の外との交流の窓口が担える人材(ゲートキーパー)は社内に一定人数の蓄積が必要です。中小企業の場合は社長が一手に引き受けることが多いのですが、それでは社長の身体がそうそう持ちません。社内の核になる人材にその役割を担ってほしいものです。そのためには継続教育を念頭に置いて、核になる人材を育てなくてはなりません。多くの研修機会がありますが、手をあげさせて積極的に参加させることが大事です。 特に、3年から7年ぐらいの中堅の一般社員は実質的に現場での役割・期待が大きくなり、日常の仕事に忙殺されて、研修の機会に恵まれないケースが少なくありません。また、この層は日常の仕事に対してマンネリ化している可能性も高いといえます。その意味からも日常的に刺激を与えることにもなるため、外部での研修を受講させるなど、社外の空気に触れさせることが大事なのです。 しかし、単に受け身で研修を受けるだけではなく、いろいろな出会いを通して、切磋琢磨できる人材のネットワークを構築してくることを義務づける必要があります。特に、職能別の専門教育を行っているような機関に送り出すのが効果的です。例えば、人事担当者の長期研修に参加している例では、人事企画を担当して、新たな人事制度をつくる時に、それが自社に合っ社員を社内外の勉強会やセミナーに積極的に参加させている3-11

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