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119Case Study119戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要なOJTのやり方、伝えようとする重点技能の絞り込み、そして技能の評価体系の確立、さらにOff-JTによって理論面の補強をするわけですが、その内容を検討します。「❷意識づくり」では、経営者が技能伝承の重要性を認識してリーダーシップを発揮すること、そして管理者もその重要性を認識することです。指導者および学習者の意識改革がなければ計画的にOJTを展開することも難しくなります。「❸環境づくり」として、作業指導マニュアルの整備、計画的なOJTが展開できるような計画の策定、OJTの評価、5Sの徹底などがあります。Step Up1 やさしい仕事から難しい仕事へと段階的・計画的に移動させている 育成すべき事項を明確にしたうえで、やさしい仕事から難しい仕事へと計画的に配置して、それぞれの段階で仕事がマスターできているかどうかのチェックを各段階で行う必要があります。 教育訓練の効果測定を考えると当然のことですが、教育訓練の終了時に理解できているか、習得した実技のレベルを確認する必要があります。そして、最終的な評価は顧客の満足度(製造工程なら後工程の担当者からの評価)で評価することになります。その際に、5Sを徹底することも重要です。特にしつけ教育が重要です。変なクセが付いた従業員は使いにくいものです。2 指導職が後継者に対して指導する時間を就業時間内に確保している 指導職となる人はベテランの中でも職場の中核的な人材でしょう。つまり、皆から頼られて、大事な仕事はそのような人に集中しているものです。多忙なうえに指導職としての役割も担わなければなりません。経営者が本当に技能継承の重要性を痛感しており、努力したいと考えているなら、指導のための時間を確保しなければなりません。それも仕事のうちと考えて就業時間内に確保したいものです。OJTを補完する意味で、外部の研修を受けさせるといったこともあります。これも時間外で開講されているコースなら残業がその日に入らないように調整するといった配慮があってよいかと思います。現場に放り込むことが OJTではない Case1 P社は配属にあたって好きなことをやらせているので離職率が低く、1年で辞める者はいない。配属後はOJTを行い、段階的に約3年をかけて一人前に育て上げている。マンツーマンで教える段階があるが、NC機の前に旋盤をやらせている。各人の能力をみながら教えるやり方だ。職長は各作業者の技能を大体把握している。昔とは異なり今は、技術は盗む物ではなく、教える物であると考えている。(射出成型用金型および抜型製造・200人) Case2  Q社は個人ごとのスキルマップを作った。これは技能を計画的に高めていくために、目標管理の仕組みとして始めたものだ。現場の課長がチェック項目を考え、作業者のあるべき姿と比較して現状の点数を示す。個人の技能を棚卸ししてみると、個人ごとの保有スキルにバラつきがあるなどの問題点が浮かび上がった。従業員の多能化をめざしていく社長は、スキルの片寄りを解消し、レベルの平均化を図るためローテーションを積極的に実施していく方針だ。(精密歯車製造・50人)██技能伝承の条件技能伝承の条件●OJTの方策●重点技能の絞り込み●技能の評価体系●Off-JTの方策仕組みづくり●経営者のリーダーシップ●管理者の意識改革●伝える側の熟練技能者の理解●技能教育を受ける側の態度形成意識づくり●作業指導書の整備●計画的なOJTの展開計画●OJTの進捗状況の評価(効果測定)●5Sの徹底環境づくり

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