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117Case Study117戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要会あるごとに経営者や先輩が体験を交えて伝えていくことが、若者の理解を深めて、やる気を起こすことにつながります。それが見えれば、自分なりの夢も持てるようになるのです。Step Up1 仕事に関連した公的資格取得に奨励金を出している 建設業では技能士の有資格者を工事現場に配置することが義務化されているとか、IT企業では情報処理技術者の有資格者が多いことで、受注の際に技術水準を明示しやすいといった理由から公的資格の取得を奨励し、処遇にも反映する企業が多いです。製造業では一部の資格(造船の溶接とか)を除いて有資格者でなくてはできない仕事が少ないため、国家技能検定などの資格を取得しても、取得時に報奨金を出す程度で、給与に反映しているところは意外に少ないのです。 技能検定の取得のために勉強をして、その結果、より高度な仕事ができるようになり、成果を上げた段階で報いるとする企業が多くあります。それは「資格取得だけに奔走する資格マニアは評価しない」との考え方です。とはいえ、動機づけとしての公的資格取得を奨励しており、取得時には一時金だが奨励金を支給する企業はかなり多いです。2 入社時の導入教育で中長期的なキャリアの展望を示している 中小企業の場合は、導入教育の段階で中長期的なキャリア展望を明確に示すことは難しいでしょう。しかしながら、ローテーションを含めた担当職務の拡大、成長に伴って拡大する責任と職務権限などを、機会あるごとに示すことはできるでしょう。 その意味では先輩従業員の役割のお手本を導入教育のなかで例示するために、先輩従業員に入社後の経験を話してもらうなどにより、緩やかに示すことはできるでしょう。将来の姿が見えるかどうかで、夢の持ち方も変わってきます。育成目標はきちんと 共有する Case1 N社は全従業員の基礎的な能力レベルの向上に長年取り組んでいる。オペレーターや検査員、梱包員などの職種に社内の資格制度を設け、従業員に取得を促す。クレーンの取り扱いなど業務に関連する社外の資格が必要な場合には、企業が費用を負担して資格を取らせ、取得後は手当を支給している。(スリッター加工・63人) Case2  O社は自主学習を基本としているため、従業員に「常に自分で能力を磨け」と口を酸っぱくしている。自己目標管理制度を充実させており、従業員には4カ月ごとに目標を立てさせている。例えば営業なら今度の4カ月はフィルターの勉強、設計ならこの4カ月でこの技術を取得して成果を発表する、といった具合だ。同社では、4カ月に1回のペースで社内報を発行している。ここには全従業員が自分で書いてまとめた学習計画をのせて、自己目標管理制度の発表会もあわせてやっている。(振動計測装置製造・23人)

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