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113Case Study113戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 経営者と一緒に仕事しながらマンツーマンで後継者を育成している 一番効果的なのは経営者と一緒に仕事をしながらいろいろな場面を体験することです。漠然と体験するだけではなく、ある部分の仕事を完全に任せて、その代わり厳しいレポーティングを科すとか、目標を立てさせて、その達成度を厳しくチェックするのもよいです。しかし、後継候補者が近親者であるとどうしても甘くなりがちですので、他社の経営者を見習うとか、小さくても独立した事業のすべてに責任を持たせて経験させることがよい経験になります。事業運営に対して、経営者が厳しくチェックをするのは当然です。 自社内での育成が難しければ他社での経験を意識的に行います。ある種のインターンシップですが、何年か修行を積ませて自社に戻します。外の風にあてることが重要です。そこでいろいろなネットワークも構築できます。2 外部との窓口役に後継者を積極的に配置している 中小企業内だけで、後継者を育てようと考えても、どうしても内部の仕事だけに偏ってしまう傾向があります。経営者の仕事のなかで大きな部分は外部とのつながりです。公私共々、外部とのネットワークをどのように構築できるかによって、受注活動、資金繰りなどに大きく影響してきます。この役割を意識的に後継者に経験させることが、経営を引き継ぐうえで大きな効果につながります。 ゲートキーパー(窓口役)としての後継者にするわけです。外部とのネットワークの拠点として後継者が活躍するようになれば、情報の流れも変わってきます。そのような外部とのつながりと、内部の管理、そして経営戦略、経営方針の策定への関与などを経ることにより、安心して経営を引き継げる人材へと育っていくのです。後継者育成は トップの重要な仕事 Case K社では、社長が習得したダイカストのノウハウは専務にも教えている。レイアウト(ダイカスト製品の型の作り方)を作る時は頭の中で湯の流れを考え、シミュレーションする。ひらめきも大事であり、計算だけではよいレイアウトはできない。同社の強みは、このレイアウトの独創的な作り方にあり、ダイカストは金型で7割が決まる。今は専務が上かも知れないという。(鋳物/ダイカスト製品製造・20人)次世代への後継親族内承継❶子息・子女などへの後継 (後継者候補が1名の場合)❷複数の子息・子女などへの後継 (後継者候補が2名以上の場合)親族外承継社内❸生え抜きの起用による後継❹役員・従業員への自社株売却 (MBO/EBO)※社外❺外部からのスカウトなどによる後継親族内外を問わない適切な人材への後継❻株式上場を機とした最も適切な 人材への後継後継以外での企業存続❼社外への自社株売却(M&A)廃業❽最終手段としての企業清算██事業承継の選択肢※MBO(Management Buyout):経営陣(役員)による自社株の買い取りEBO(Employee Buyout):従業員による自社株の買い取り資料:みずほ総合研究所「オーナー社長と後継者のための事業承継入門」東洋経済新報社(2009年)██事業承継の全体像資料:みずほ総合研究所「オーナー社長と後継者のための事業承継入門」東洋経済新報社(2009年)❶自社の経営の後継準備/立ち上げ●後継前の次世代への後継準備●後継後の新経営体制立ち上げ❷自社株の承継●企業経営の視点(経営権)●オーナー家の視点(財産権)を踏まえた自社株の承継❸相続財産の承継●自社株も含めたオーナー家の財産承継経営の承継資産の承継企業経営相続●❶自社の経営●❸相続財産●❷自社株

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