111Case Study111戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 高齢者や女性等の活用のため、 短時間勤務制、ワークシェアリングなどを導入している 高齢者や女性を活用するうえでは、勤務時間の工夫が必要です。高齢者は年齢が高まるほど体力的な問題が生じ、収入動機よりも社会への参加意識が高まるので、毎日フルタイムで働こうという人よりも、隔日やパートタイムでの希望が多いです。また、女性も継続就労を考えている人は、女性に限ったことではないのですが、家庭生活との両立を図れるような働き方を重視しており、ライフワークバランス(家庭と仕事の両立)に比重を置いています。 フルタイムで働き続けるのは難しいものの、短時間勤務や2人で一人前のペア勤務(ワークシェアリング)などによって、働きやすい環境を用意できれば、多数応募してくるでしょう。しかしながら、製造業ではパートタイマーについてもかなり長時間働いているケースが多くなっています。女性や高齢者にやさしい職場づくりは、全従業員にやさしい職場になるでしょう。2 障害者の定着・活用のために、 障害者の就業支援をする社内ジョブサポーターを決めている 中小企業の障害者雇用率は、依然として低迷しています。大企業に関してはここ数年上昇してきたのですが、もともと雇用率の高かった中小企業で厳しい状況が続いています。障害者の雇用は社会貢献というだけではなく、適職を開発すれば彼らに十分活躍してもらうことができます。知的障害者の活用を進めている企業の例では、生産工程をカラーコーディングするとか、簡単な治具を作って作業性を高めるなどの工夫をしています。知的障害者の職場適応はなかなか難しいので、ハローワークなどのジョブサポーターも指導に加わってくれますが、むしろ、従業員が勉強をしてジョブサポーター役を担ってくれると、作業内容を理解していることもあり、彼らにどのようにすれば作業性を高めて配置できるかといった現実的な対応が可能となります。そのような試みをする企業が増えてほしいものです。働きやすい職場づくりから始めよう Case1 I社は技術を伸ばすために技術者を育て、分析装置などの設備を整える必要があった。接点のある大学の先生に声をかけて学生を集め、女性の技術者が働きやすいように談話室やトイレを改装し、工場や社屋も近代的なイメージに変えている。高額な分析装置類は同業者との共同購入で安く入手した。 また、同社では定年を過ぎても本人の希望により、継続勤務を可能としている。新入社員はベテラン社員から企業の規律などを教わっており、高齢者の活用も忘れない。(めっき技術開発・92人) Case2 J社は定年を過ぎても、同社にとって特に必要な技術を持っている従業員はさらに続けて働いてもらっている。やはり、難しい問題の解決にはベテランの経験が頼りになるという。最近ではむしろ、高齢者の優れた技能を積極的に活用するようになってきた。(ボルト/ねじ製造・270人)(アメリカ=100)2000年2005年2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年日本10084797484889110199アメリカ100100100100100100100100100イギリス839910211010486848788ドイツ102126129136145134126134128フランス86108111118127118112119112スウェーデン94117120133136120125139140フィンランド80112115122134129119127119台湾292626262623242627韓国394957615144515458シンガポール474445495851566568██生産労働者の時間当たりの労働費用(製造業)資料:独立行政法人労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較 2017」(2017年)
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