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107Case Study107戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 複数の職務ができる多能的な人材を育成すると同時に 柔軟な応援体制が組めるようにしている ISO9001を取得した企業では、品質の維持が目的ですが、それを日常的に達成するためには人材の育成が条件となります。それぞれの職場で必要とされる能力や技能を一覧にして、各人がどのような能力、技能をいくつ持っており、それがどのレベルかを一目瞭然にし、スキルアップをめざしています。求められる目標を明確にしたうえで、たえず進捗状況を確認しながら、一人ひとりが自律的にひとつずつ能力を身に付け、あるべきレベルに到達することをめざすわけです。 改善活動など、その先の部分では知恵をつくり出す能力が求められています。若いうちから難しい問題にチャレンジし、それを一つひとつ解決した経験が優秀な人材へと育てるのです。小さな改善の積み上げの経験が思いがけない成果にもつながるのです。2 従業員は自分の仕事について、計画と実績を比較して 問題点を把握し、改善を実施している 若手だけに任せているだけでは企業は回りません。中堅従業員や管理・監督者層の従業員も一体となって、難局を乗り切らなくてはなりません。営業であれば、企画提案型の営業でなければ新規開拓は難しいでしょう。こうすれば顧客にとってメリットがあるということを織り込んで提案をつくることが必要です。新製品の開発であっても、マーケットのニーズ、市場が求めている物を的確につかむ必要があります。需要にあわせて柔軟に動く必要があるのです。課題は次々に出てくるものです。これに自ら企画し、提案し、実際に業務も処理する。PDCAサイクルを自ら回せる中堅従業員や管理・監督者層の厚さが企業の競争力を形成します。大きな方針は経営者が示しますが、それを受けて、各人がチャレンジ精神を発揮する組織へと変えていくことが求められます。大胆な組織変更で 顧客に近づけ Case1 大切なのは従業員が自分の仕事に対する反応をダイレクトに感じることだというF社。生産やソフトウェアの担当者が客先の現場に行くことはもちろん、間接部門で働く従業員にもリアリティーが重要であると指摘する。そのため、かなり大胆なジョブローテーションを行う。一般にローテーションは生産性を落とすといわれるが、同社はそれにより失うものより、そこから得られるものに注目している。(自動外観検査装置製造・60人) Case2  G社はもともと研究開発部門が社内にあった。営業担当者が問題を抱えてくると、開発部門が解決していたため、開発部門の仕事はトラブル処理になりがちであり、本来の開発活動が十分にできない状態であった。そこで研究開発部門を本社から切り離し、技術者だけの集団である別企業を立ち上げた。研究は「何をやってもいい」という方針に技術者は奮起し、先端的な研究開発に専念することができた。従業員数は10人ほどであったため、社内の決めごともスピーディになり、それが困難な新製品の開発につながったという。(土木関係の各種計測機器の開発・136人)要素旧システム新システム職場組織● 階層的● 厳密● 機能的・特殊化● フラット● 柔軟● 多能化・複合機能の  チーム・ネットワーク職務設計● 狭い● 単純・くり返し・標準● 広い● 多様な職責社員に求められるスキル● 特定化● 多能的・複合的労務管理● 指揮・命令型● 自己管理型コミュニケーション● トップ・ダウン● 知らしめる必要がある● 広範に拡散● 全体像を知らせる意思決定の責任● 集権的● 分権的管理・監督● 標準化・固定化した手順● 臨機・応変の手順労働者の自主性● 低い● 高い組織についての社員の知識● 狭い● 広い██組織や管理の変化と仕事の変化出所:“21st Century Slills for 21st Century Jobs,” US Dept. of Commerce, US Dept. of Education, US Dept. of Labor, National Institute for Literacy and Small Business Administration (January 1999).

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