105Case Study105戦略・経営者マーケティング組織・人材運営管理財務管理危機管理・社会環境・知財管理10の財務指標関連機関概要Step Up1 職場の責任者は、担当職場の運営上の 責任と権限が明確にされている 組織運営の要は責任と権限です。特に何人かを束ねた職場の責任者(管理・監督者)がその職責を果たすためには、責任と権限が明確にされていなければ、判断の振れが大きくなり、部下からの信頼を得ることが難しいでしょう。つまり、責任もとらずに権限もないかたちだけの上司であったなら部下はついて行きません。 部門長には日常的な業務運営だけではなく、その職場内のメンバーに対する人材育成の責任もあります。いくら潜在能力があっても磨いて顕在化させなければ活躍してもらえません。もうかる仕組みを構築すると同時に、部下を育てることができなければ、部門の付加価値生産性を高めることができません。その前提として、権限委譲をできるだけ進めると同時に、運営上の責任と権限を明確にしておくことが肝要です。2 標準化・マニュアル化を進めると同時に、 そのマンネリ化を防ぐために見直しや改訂をしている 標準化・マニュアル化は大事ですが、そこでとどまってしまってはマンネリ化は避けられません。厳格な職務給の世界では職務範囲が明確で責任と権限も明確に規定されます。しかし、決められたことを決められた通りに永遠にこなすだけでは、マンネリ化するだけで、ものごとは変わりません。変革を求めるには決められたことを変えていく態度をつくり上げなくてはならないのです。そのためには自分たちの職域にこだわらずに、企業全体のことを考えて自律的に動ける人材の蓄積を図る必要があります。標準化・マニュアル化を自分たちなりに日常的に見直して改訂していく、あるいはミスが少なく、より使いやすいマニュアルを自分たち自身で作ってもらうといったことも効果的です。中小企業だからできる 全社組織のガラガラポン Case E社は職場全体の配置や組み合わせの変更を2~3年に1回の頻度で定期的にやっている。きっかけは製品の機種によって忙しさにバラつきがあるので、それを解消するためだった。配置替えをしないと製造部門は担当業務に関して“自分の城”を持ちたがり、他へ教えようとしなくなるという問題もある。技術はいろいろな人と共用しないと企業全体にプラスにならない。配置替えでは工場内での場所を変えたり、グループの人数を増減したり、持ち場をローテーションさせたりする。これを実施する際は事前に説明会を開いて、計画を説明し従業員の意見もきちんと聞いている。企業としては、生産性の向上や品質の向上のため、などと目的を説明する。配置替えのメリットとして、従業員の技術の幅を広げられることがあげられる。また忙しさの偏りが減って残業時間も平均化している。さらに休日出勤も減った。効率よくやれば残業をしなくてすむということだ。(電気機械器具製造・50人)██社内の命令系統や権限・責任の明確化が必要
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