HTML5 Webook
102/233

102Chapter3Business Methodsしつけの前提となる5S活動 5Sは、整理、整頓、清掃、清潔そしてしつけのローマ字表記の頭文字のSを取ったものですが、製造現場では基本中の基本です。 工場のどこに障害があるかはなかなか見え難いものです。どこにムダがあり、渋滞があるのかを見えるようにすることが、工場改善の第一歩ですが、そのための道具が「5S」とか「目でみる管理」であって、それが改善のための前提条件となっています。 5S活動といって、仕事中に頻繁に清掃をすることでムダをわかりにくくしてしまうケースが見受けられます。これでは工場はきれいになりますが、工程内不良率や不良在庫の様子がみえなくなり、改善にもまったく手をつけないことになってしまいます。また、改善活動の目的は安全活動だけに限定されていて、肝心の工場のスリム化や効率化を二の次にしてしまっているなど、費用対効果を考えない改善活動ではほとんど意味がありません。そのように改善活動のマンネリ化が進んでしまった企業では、トップの確固とした意識改革からスタートする必要があります。そのままの状態で、自動化(機械化)を行うと、大きなムダを固定化することになってしまうからです。5Sや目で見る管理によって、常に改善活動を行い、生産ラインのスムーズな流れを実現してから適切な自動化・機械化に取り組まないと、せっかくの自動化が生産性の向上面で不十分なものになってしまいます。工程間にどのような仕掛品があるのか、作業の進捗状況がどのようであるかを把握することが難しくなってしまうのです。自然に実践できるしつけが重要 現場作業者も管理・監督者も、同じ土俵に立って、同じ価値観と同じ尺度で現場を見て、全員が知恵を出し合って改善をするのが「目で見る管理」です。誰が見ても生産が遅れているとか、どのような品質不良が出ているのかがわかる仕組みをつくり出すところにそのポイントがあります。見えなければ改善は難しいのです。5Sとは、整理:いる物と、いらない物をハッキリ分けて、いらない物を捨てる。整頓:いる物を使いやすいようにきちんと置き、誰にでもわかるように明示する。清掃:つねに清掃をし、きれいにする。清潔:整理、整頓、清潔の3Sを維持する。しつけ:決められたことを、いつも正しく守るよう習慣づける。のことですが、この中で最も重要なのは「しつけ」です。命令によって服従させることでなく、従業員全員が5Sの重要性を心から理解し、自然に実践できることです。そのために、継続的にしつけ教育を行い、普段の業務で気をつけることを具体的に従業員に伝えていくことが必要となります。 従業員のしつけがよくできている工場では、現場を見学させていただくと、生産ラインもすっきりしていますし、工具置き場がきれいに整理されている社員一人ひとりの状況に応じた人材育成・マナーの向上(しつけ教育)に取り組んでいる3-2

元のページ  ../index.html#102

このブックを見る