100Chapter3Business Methods魅力ある職場づくりを行うなど、人材確保や社員の定着を図るための工夫をしている働き方改革で、魅力ある職場づくりを 中小企業は大企業に比べて知名度が低いために、人材の採用面は難しい面が少なくありません。また、せっかく採用できても1、2年以内に、あるいはもっと早期に辞めてしまったのでは、採用のコスト、入社後の教育コストの面からみてもはなはだ問題が残ります。定着を図るためには若者の定着意識を理解して、魅力ある職場づくりを行うなどの工夫をする必要があります。 過去の調査(「中小企業における若年労働者に関する調査研究報告書」連合総合生活開発研究所、2005年3月)から浮き彫りになる若者像は、❶転職経験がなく勤め続けている者の半数近くが「辞めたいと今でも思って」おり、彼らは現在の仕事に対する満足度が低く、今後のキャリア形成の見通しも「よいところがあれば転職する」と回答しています。これは企業規模や性別、年齢を問いません。❷企業への定着群は一般的に公開されている情報だけではなく、インフォーマル(非公式)なネットワークによってしか得られない情報や、実際に働いてみなければわからない職場の様子などの情報を活用しています。❸入社当初の不満や不安を和らげるために、狭い範囲の情報しか知らない若手従業員同士での交流の場を設けるのは逆効果です。むしろ、親身になってくれる先輩との交流機会の場を設定するほうが有効で、先輩や上司が仕事以外の面も含めて相談・指導する体制が確立しているかどうかが、若者の定着に大きな影響を与えます。❹「労働条件」「人間関係・人材育成」「企業の業績・将来見通し」「仕事の与え方」のそれぞれで、定着群と非定着群(転職可能性群・転職経験群)との差が大きい。つまり、定着群は労働条件や人間関係などに恵まれており、非定着群は恵まれていない傾向が強いです。❺「仕事が合わない」というのは多くの若者が抱える悩みですが、これは非定着者に特有の悩みではありません。定着者にも同様の悩みを訴える若者が多いのです。仕事が自分に合っているかどうかは、3年とか5年とかのある程度の年月を重ねて働かないと理解できない部分が多いということがわかっていないのです。入社前後の意識のギャップを埋め、目標設定をサポート 若者が入社前に抱いていた仕事の内容や職場環境に対するイメージと、入社後のそれとのギャップが大きく、転職願望を抱くにいたるケースが少なくありません。それは一世代前の若者に比べると、仕事の面白さや能力発揮の機会が得られる、魅力ある職場へのこだわりが強まっている分だけ、若者側が企業や仕事の内容を十分に調べずに勝手な思い込みで企業や職種を選んでいる結果でもあり、このミスマッチがストレスを高めているといえます。この頃の若者に多く見かけるのですが、自分に自信が持てなさす3-1
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